感染症による雇用不安や社会の急速なIT化が進み、就職・転職でエンジニアを目指す人が増えています。
他職種に比べ待遇も悪くない上、これからますます需要の高まりが見込まれ、「手に職」をつけたい人にとっては魅力的な職種と言えるでしょう。特に女性は、出産や育児で一度仕事から離れても復職しやすく、転職先が見つかりやすい仕事を選びたいものです。
IT系は人手不足傾向のため、女性がキャリアを継続しやすい制度が整った企業が多く、また、リモートワークしやすい職務内容なのも特徴です。
しかしその分、高い技術力を求められ、激務なのでは?と疑問に感じる人も少なくないでしょう。エンジニアは理系職種と思われており、多くの人は、文系女子がエンジニアとして活躍するイメージを持っていません。つまり、「様々なプログラミング言語に長けたプロフェッショナルが、コンピュータの画面に向かってコーディングを打ち込み、速さや正確性を競う仕事」というイメージから、興味はあっても「自分は文系だから」と躊躇してしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで、私立文系大卒の現役女性エンジニアである筆者が、文系女子がエンジニアとして活躍できる3つのポイントを紹介します。正直、予想していなかった職業ですが、意外に適性があったと感じる理由を、エンジニアの実際の業務内容を交えて説明していきます。
目次
①エンジニアの必須能力は読解力と表現力
エンジニアの主な仕事は、クライアントの要求をシステムへ「変換」する作業です。システムやプログラミングを知らないクライアントと、実際にコードを実装しシステムを構築するプログラマーとの間に立つ「通訳」と言っても良いかもしれません。そこで生かせるのが文系の得意分野である読解力と表現力です。
クライアントの要求を会話や文章から理解し、システムの全体像を描き、それを開発チームに共有し、設計書に落とし込む、という一連の「変換」作業には、物事を理解して自分の言葉で表現する力が欠かせません。この「変換」作業が不十分だと、クライアントの要求とズレたシステムが出来上がってしまうからです。
また、「行間を読む」のも大切な能力です。つまり、断片的な情報から全体を推測するスキルです。クライアントが、システム開発に必要なすべての要件を、正確に開発者に伝えることができるとは限りません。細部が提示されなくても、また、一部が誤っていても、とらわれたり揚げ足をとったりすることなく、全体の文脈から推測し、仮説を立て、検証して物事を進めていかなければなりません。
エンジニアと呼ばれる職種の場合、先に述べたような「画面に向かってコードを書く」作業は、ゼロではありませんが、ほぼプログラマーが担います。エンジニアは、1日のほとんどを、管理・資料作成・対人折衝に費やすのです。
②文章力が高ければエンジニアの仕事は100倍スムーズ
人に説明する場面が非常に多いため、文章力を発揮できるのもエンジニアの仕事の特徴です。クライアントに必要なシステムを提案したり、プログラム仕様をまとめたり、決裁を取るのに上層部にプロジェクト内容を説明したり、また、日常的にメールで細かな意思疎通をしたりもします。
目的や意図、具体的な方法を正確に説明できなければ、相手に伝わらず、例えばプログラマーが誤解したままシステムが完成してクライアントの意図と違う計算結果になってしまったり、作業にどれくらいの人数と時間が必要なのかが伝わらず予算承認がなかなかおりなかったり、業務に支障をきたします。
「どのような経緯でこういうプログラムロジックにしたのか」などの背景や経緯を文書で残しておくことも、大切な業務です。証跡を残しておけば、クライアントや開発チームメンバーと済んだ議論を蒸し返して、無駄な時間を費やさずに済みます。後から開発メンバーに加わる人へのナレッジとしても有効でしょう。
③対人折衝能力がプロジェクト成功のキモ
エンジニアは、ITを活用してクライアントの業務課題を解決するのが使命です。クライアントの課題やニーズを聞き出すコミュニケーション能力が求められるため、文系出身者が活躍しているケースが多いのです。
また、クライアントから聞き出した要望を、開発メンバーに連携し、プロジェクトを進めていきますが、その場面でも相手の立場に立った対話や、調整、交渉が必要になってきます。状況によってはプログラマーに、短い期間で実装してもらわなければならなかったり、納期間際に仕様変更が発生したりすることもあるでしょう。良好な関係を維持しながら、協力してもらわなければなりません。
「クライアントが本当に求めているものは何か?」を聞き出し、「最適な方法はどれか?」を考え、周囲の人たちと調整する能力が欠かせないのです。この辺りは、どちらかというと男性よりも女性の方が得意と感じるかもしれません。
ITに強くないクライアントにシステム仕様を説明するシーンでも、言い方や説明の順序、図示の仕方などに気を配る必要があります。ここでは、入社当初に理系の同期と比べて要領を掴むまで苦労した自分自身の経験が生きてきます。どういう資料があれば素人でもイメージしやすいか、どういう説明なら腑に落ちたかは記憶を辿れば自ずと分かるのです。
まとめ
ここまで説明してきた通り、エンジニアは周囲とのコミュニケーションが中心の仕事のため、「あえて文系出身者を採用したい」「文系理系、男女バランスよく採用したい」と考える企業は少なくありません。
筆者の職場は人事・総務・経理といったバックオフィス部門のシステムを開発する部署ですが、文系出身者の割合は理系よりも高く、中でも女性はほぼ全員が文系出身者です。チームリーダーを務める文系出身の女性エンジニアもいます。テクニカルな部分への興味関心の強い理系女子は、社内のネットワークや基盤、インフラ系の専門部署に配属されており、クライアントとの折衝の多いアプリケーション系の部署は文系出身者が多くなっています。
文系理系はあくまで傾向であり、出身が文系でも理数科目が好きで得意な人もいれば、理系でも文章力が高く説明上手な人もたくさんいます。大切なのは、自分の得意なところを生かし、わからないことは素直に人に聞けること、必要な能力をその都度身につけられる柔軟な思考です。
入社時点でプログラム言語の知識がない文系女子でも、①読解力・表現力、②文章力、③対人折衝能力の3つのポイントとその生かし方を押さえれば、コンプレックスに感じることはありません。むしろエンジニアは、文系が当然のように持っている能力を武器に、「技術者」として理系の専門的なキャリアを積めるおいしい職種なのです。
もっと多くの文系女子がエンジニア界で活躍していくのが今後楽しみです。
もう一度「文系女子がエンジニアとして輝ける【3つのポイント】現役女性エンジニアが解説!」を読む ↑
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