ITエンジニア歴20年以上の筆者は、新卒で下請け・派遣を中心としたIT企業で15年勤務しました。
その間、自社開発、客先常駐請負、派遣といった様々な業務形態、長時間労働が常態化した開発現場から、毎日定時退社といった健全な開発現場まで経験しました。
その後、それらの経歴を活かして大手メーカーへ転職し、現在もエンジニアとして活躍しています。
エンジニアは社会にとって欠かせない仕事です。高いスキルや実績を持つエンジニアは企業にとって需要があります。
ご存知の通り、終身雇用は崩壊し、転職は当たり前になり、人材の流動性は高まりつつあります。エンジニアについても同様です。
さて、SESという言葉をご存知でしょうか?
SESとはSystem Engineering Serviceの略で、主にソフトウェアやシステムの開発において、エンジニアの技術力を提供する契約形態を指し、技術者の労働に対して対価を受け取ります。
エンジニアは自社ではなく、大手メーカーをはじめとする客先企業に常駐して開発業務を行います。
冒頭に記載の通り、筆者はIT企業に勤務していた頃、SESとして客先常駐での開発業務を経験し、その後大手メーカーへ転職しています。
この記事では、SESの転職やキャリアアップにおいておさえておきたいポイントについて解説いたします。
- 一般的に「SESは転職できない」と言われる理由
- 筆者がSESで実現したキャリアについて事例をお伝えする
- 将来を見据え、転職エージェントを活用し情報収集する
- プログラミングスクールの活用をスキルアップの手段の一つとする
目次
SESか否かよりも、積み上げてきた経験や実績のほうが重要
1.一般的に「SESは転職できない」と言われる理由
大前提として、エンジニアの常駐先企業がどのようなところであるかによって左右される可能性が高いです。
まずはじめに、「SESは転職できない」と言われる理由について説明します。
SESは客先企業に常駐してシステム開発を行う業務形態です。そのため、その客先企業の自社開発、受託開発の下請けや下流工程を担当することが多く、上流工程のスキルが身に付きにくいことが特徴として挙げられます。
また、常駐先の労働環境が悪ければ、長時間労働によって疲弊する可能性があり、スキルアップに時間を投入できなくなります。常駐先企業の都合でプロジェクトが進められていくため、エンジニアが所属する自社が介入できず、コントロールしにくいことがSESの問題点として挙げられます。
常駐先企業から見れば、常駐エンジニアは他社のエンジニアであるため、自社のエンジニアほど教育しようとはしません。
業務内容次第では常駐エンジニアへの教育も必要ですが、常駐先企業が常駐エンジニアの将来のキャリアプランを見据えた育成にまで関与することはまずありません。常駐先企業は、常駐エンジニアよりも自社社員のキャリアアップに有利な人員配置をします。
これらのことからSESは、スキルが身に付きにくい業務を多量にこなし、場合によっては長時間労働のリスクに見舞われます。この状況でSESのまま年齢を重ねていくと、他の企業で通用するエンジニアになることが難しくなります。
また、SESの案件自体も、年齢を重ねると少なくなります。スキルが低くてもできる仕事や下流工程の仕事を多量にこなすなら、若いエンジニアのほうが、体力もあり労働単価も安く抑えられるため、常駐先企業としてはそちらを選ぶ傾向にあります。
スキルが低く年齢を重ねたエンジニアの転職は難しい上、SESはより一層その状況を作り出しやすいと言えます。
2.筆者がSESで実現したキャリアについて事例をお伝えする
上述したSESの一般的なイメージは、現実に当てはまる部分があり、筆者も経験しています。しかし、筆者はSESでスキルを上げました。
筆者はSESとして主に大手メーカーで業務に携わりました。業務内容は、ソフトウェア設計、プログラミング、テストが中心でした。下流工程が中心とはいえ、最初は苦労したものの、時間の経過とともにスキルがアップしていきました。
常駐エンジニアとして在籍年数が長かった常駐先企業では、開発担当の他、常駐先若手社員の教育、常駐先企業の顧客窓口、出張、開発中の成果物レビュー、一部システムのソフトウェア開発リーダーを担いました。業務効率化にも取り組み、自作ツールの作成も行いました。SESとしては異例で、常駐先社員と区別がつかない程度にまでなっていました。
このようなことができた背景には、常駐先企業における正社員と常駐エンジニアを分け隔てなく接する組織風土でした。筆者としても非常に良い経験になりました。
一方、筆者が新卒で入社したIT企業は、SESの他、社内で受託開発も行っていました。受託開発は下請け、更には孫請けがメインでした。
常駐先であった大手メーカーと比べて、自社内の管理職のマネジメント力が低く、客先常駐よりも自社社内の受託開発のほうが炎上案件の確率が高く、長時間労働になりやすい問題を抱えていました。実際、このことから自社への帰属意識が低い社員もいました。
筆者が経験したのは、前述したSESのネガティブなイメージとは逆のものでした。
筆者は、これらの経験と実績を踏まえ、大手メーカーへ転職することによってキャリアアップした方が良いと判断し、転職活動を開始しました。そして、下請けIT企業から大手メーカーへ転職に成功しました。転職前も転職後も、他の開発現場での経験を「他社事例」として紹介し、ソフトウェア設計や業務の改善に繋げています。
3.将来を見据え、転職エージェントを活用し情報収集する
自社開発、受託開発、SES、いずれにしても業務を通してスキルを高められているか、エンジニアとして継続して成長できる見込みはあるかということを、意識する必要があります。
現在SESとして勤務している場合でも、可能な限りスキルアップや業務改善に積極的に取り組むようにしましょう。そして、どのような実績を残し、経験を活かして将来どのように活躍したいかをデザインします。将来いつまでもSESのまま業務を続けることができるとは限りません。自社開発他さらに条件が良い企業への転職を見据え、転職サイトに登録したり、転職エージェントを活用することをお勧めします。
一方、常駐先企業における労働環境が悪く、長時間労働に見舞われているならば、危険信号です。スキルがつかず、疲労度が増し、時間が経過し、年齢のみを重ねていくことは、リスクでしかありません。早急に転職エージェントに登録しましょう。
転職エージェントも、大手、ハイクラス、IT業界専門など様々です。可能な限り複数登録し、SESとして勤務している現状、これまでの実績、将来ありたい姿を、転職事情に精通したエージェントに相談し、情報収集を進めましょう。自社開発(社内開発)に強い転職エージェントも存在するので、有効活用してみてはいかがでょうか。
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4.プログラミングスクールの活用をスキルアップの手段の一つとする
現在SESとして勤務している状態で、キャリアアップできる見込みがない環境に置かれている場合は、時間の経過とともに自社開発への転職が難しくなります。将来向けて、どのようにスキルアップしていくかデザインし、行動を起こすことが必要です。
実践的なスキルを身に付けたいならば、プログラミングスクールを活用する方法があります。
将来に向けて、転職を視野に入れてのスキルアップはもちろんのこと、業務とかかわりが深い内容であれば、現在SESとして携わっている業務の範囲を少し広げて俯瞰的に捉えることができたり、身に付けたプログラミングスキルで単純作業を自動化して業務効率化に繋げる、業務に付加価値を付けるなどすれば、それは実績として転職時のアピール材料になります。
また、捻出した時間で、更なるスキルアップや、転職準備に時間を投入することが可能です。
プログラミングスクールは、Web、アプリケーションといった技術分野面、扱っているプログラミング言語が様々です。自社開発(社内開発)に強いプログラミングスクールもあります。是非、有効活用してみてはいかがでしょうか?
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まとめ|SESは転職できないというのは本当か?
この記事では、SESが転職できないと言われていることについて、SESを経験した筆者の見解を、事例も含めてお伝えしました。
重要なことはSESかどうかではなく、エンジニア自身が持つ経験と実績です。人手不足の現代、スキルや経験を保有するITエンジニアは貴重な存在です。
現在SESとして勤務されている方は、可能な限り現在の環境でスキルアップしていくことが必要です。最近充実してきているプログラミングスクール、情報収集には欠かせない転職エージェントを有効活用することで、成功の可能性が高まります。
皆様のキャリアアップ、そして各々の分野での活躍を祈念いたします。
もう一度「SESは転職できないというのは本当?キャリアアップの道筋をSES経験者がお伝えする!」を読む ↑
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いきなりの転職が不安な方はプログラミングスクールという選択も
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