インフラエンジニアに未経験で転職したいと考えている方から、次のような声をよく耳にします。
「何を勉強すればいいのかわからないから、なれるビジョンが見えない!」
しかし、正しい勉強方法を実践すれば、必要な勉強量を抑えることが可能です。また、勉強が苦手な方でも、自分に合った学習方法を見つけることで、知識やスキルを身につけてインフラエンジニアになることができます。
本記事では、異業種からインフラエンジニアへの転職経験を持ち、現在はインフラ系のテックリード・プロジェクトマネージャーをしている筆者が、未経験者向けに「最初に勉強するべき分野」や「おすすめの勉強方法」について解説します。勉強が苦手な方向けの勉強方法についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
筆者プロフィール
営業職から独立系SIerに未経験で転職し、クラウド・ネットワークに強みを持つインフラエンジニアとなる。6年間勤務する中で20種以上の資格取得を行い、書籍や実機検証を通して技術を磨くことで、メンバーからチームリーダー、テックリード、プロジェクトマネージャーと、順調に役割を上げていくことに成功。
著者名:みっつー
ブログURL:https://infra-career-enjoy.com/wordpress/
本記事でわかること
- 未経験者が最初に勉強すべき分野
- 未経験者が最初に「勉強しないほうがいい」分野
- 初心者や勉強嫌いにおすすめの勉強方法
- 勉強はそこそこで区切りをつけて、早めに転職活動をしたほうがいい理由
目次
未経験からインフラエンジニアになるうえで最初に勉強すべきこと
未経験からインフラエンジニアを目指す場合、何から学び始めればいいのか迷う方も多いでしょう。というのも、Web上で「インフラエンジニア 勉強」で検索するとサーバ、クラウド、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、さまざまな分野が出てくるので、どれから手を付けていいのか混乱するのも自然なことです。
実を言うと、どの案件にアサインされるかによって利用する技術は変わってくるので、入社前に勉強したことを案件では使わなかった、というケースもよくあります。未経験者の場合は、どこに行っても役に立つ可能性が高いものから学習していくことが重要です。
ここからは、未経験者が最初に勉強すべきこと、つまり案件を問わず使う可能性が高い基礎知識をご紹介します。
IT全般の基礎知識
まず、どんなシステムに携わるとしても業務や会話の中で頻出する用語については、一度調べて理解しておくことをおすすめします。
特に以下のあたりの内容は、どのプロジェクトでも目にする可能性が高い用語や概念ですので、事前に知っておくとインフラエンジニアになったときに安心です。
- コンピュータの構成要素:CPU、メモリ、ストレージなどの基本的なハードウェア構成や、OS、ミドルウェア、ソフトウェアの違い等
- システム内部の仕組み:ファイルシステム、プロセス管理の仕組み等
- システムアーキテクチャに関する用語:サーバ、クライアント、負荷分散、冗長化、スケールアップ、スケールアウト等
サーバ知識
インフラエンジニアとして、サーバの基本的な知識を持つことは必須です。近年、クラウドシステムの割合が増えていますが、クラウドにおいても中身の仕組みはオンプレミスと同じです。クラウド、オンプレミスのどちらの案件に入るとしても、基本的なサーバ知識は役に立ちます。
以下のポイントを中心に学習を進めましょう。
- Linuxの操作:インフラ分野ではLinuxを扱う機会が多いため、基本的なコマンド操作を習得する
- サーバの役割:Webサーバ、データベースサーバ、メールサーバ等
- サーバの運用機能の知識:監視、ログ管理、バックアップ、ジョブ等
ネットワーク知識
ネットワークもインフラエンジニアにとって欠かせない重要な分野です。ルータやスイッチなどのネットワーク機器の設計・構築に関わるネットワークエンジニアはもちろん、サーバやクラウド部分だけを担当するエンジニアにおいても、設計やトラブルシューティングの際にネットワークの理解が求められることは多くあります。
以下の基礎知識は最低限押さえておきましょう。
- ネットワークの基本概念:IPアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイ等
- ネットワーク機器と役割:ルータやスイッチ、ロードバランサ等の役割
- プロトコル:TCP/IP、HTTP、DNS、SSH等
未経験者が最初に「勉強しないほうがいい」こと
未経験者がインフラエンジニアを目指すうえで、モチベーションを保つためには、必要な勉強範囲を絞ることが重要です。そこで、先ほどとは逆に、未経験者が最初に勉強するものとして推奨しない分野を紹介します。
データベース
MySQL、PostgreSQL、Oracleなどのデータベース管理システム(DBMS)は、多くのシステムにおいて使われる重要な技術です。しかし、未経験者が最初に学ぶのはおすすめしません。
データベースを扱うには、サーバやネットワーク、コンピュータ内部の仕組みについての一定の基礎知識があったうえで、SQLやデータベース固有の機能も覚える必要があります。未経験で最初にデータベースに手を付けると、次々と知らないことが出てくるので、まともに動かせるようになるまでに長い学習時間がかかり、挫折しやすくなります。
まずはサーバやネットワークから学び、データベースの知識は、自分がデータベースを担当する案件に入ることが決まってから学習を始めても遅くはありません。
クラウド
AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドサービスは、現代のインフラエンジニアにとって欠かせないスキルです。しかし、これも未経験者が最初に学習するのは避けた方が良いでしょう。
先ほども述べましたが、クラウドも中身の仕組みはオンプレミスと同じなので、学習にはサーバやネットワークの基礎知識が前提として求められます。サーバやネットワークの基本的な用語や概念を知らずにクラウドの学習をすると、表面的な理解になってしまいがちです。
また、入社した企業での最初の配属がオンプレミスのみの案件になる可能性もあります。オンプレミス/クラウドのどちらの案件になっても必要とされる、ITの基礎知識、サーバ、ネットワークの学習を先に進める方が無駄になりにくいでしょう
初心者におすすめの勉強方法
ここまでは、未経験者が「なにを」学ぶべきかについて語りました。ここからは「どうやって」勉強するか、つまり勉強方法についておすすめのものをご紹介します。
資格試験合格を目指す
未経験者がインフラエンジニアとしての基礎知識を身につけるうえで、資格試験合格を目指すのは非常に有効です。
独学で勉強する場合によくあるのが、情報量が多すぎてどれを学ぶべきか悩んだり、次に何を学ぶべきかを考えるのに時間を多く割いたりしてしまうことです。この過程でモチベーションが下がってしまうことも良くあります。
一方で、資格試験には、その分野のエンジニアが学ぶべきものが凝縮されています。試験対策のWebサイトや書籍に沿って勉強を進めていくだけで、何を学ぶか迷うことなく、サーバやネットワークをはじめとする基礎知識を体系的に学べます。加えて、インフラエンジニアは転職時に資格が高評価に繋がりやすいというメリットもあります。
未経験者の場合、特に以下の資格がおすすめです。
- LPIC/LinuCレベル1–2:Linuxに関する基礎を固める上で非常に有用な資格です。レベル1ではLinuxの基本操作や仕組みを学び、レベル2ではファイルシステムやネットワーク、DNS、Webサーバにメールサーバ等、より業務に即した知識を習得できます。
- 基本情報技術者試験:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する試験で、IT全般の基礎知識をまんべんなく学ぶにはうってつけです。ただし、LinuCや後に紹介するCCNAに比べると、転職時の評価としては少し弱い印象を持たれることがあるのでご注意ください。
- CCNA:Cisco社が提供するCCNA(Cisco Certified Network Associate)資格は、ルーティングやスイッチング、ネットワークセキュリティの基本を理解するのに役立ちます。一方で、Ciscoのネットワーク機器の操作に関する細かい内容も問われるため、ネットワークをメインで触るエンジニアにならなかった場合、あまり使わないであろう知識も多いです。こだわりが無ければLPIC/LinuCや基本情報技術者試験を優先するのも良いかもしれません。
本やサイトで体系的に学ぶ
本や勉強用のWebサイトも、未経験者が効率良く学ぶのに役立ちます。資格試験と同じく、体系的に学ぶべきものがまとまっているのが長所です。特に初心者向けのものでは、挫折しにくいように図解やわかりやすい例えなどを入れて学びやすい工夫をしていることも多いので、自分に合った難易度のものを使えば学習を継続しやすくなります。
未経験者におすすめの書籍を2冊紹介します。
- 『インフラエンジニアの教科書
』(佐野 裕 著):サーバやネットワーク、OSやストレージのようなインフラエンジニアの基礎知識から、インフラエンジニアがどういう仕事なのか、どういう知識やスキルが求められるかも含めてわかりやすく解説しています。
- 『マスタリングTCP/IP 入門編
』(竹下 隆史 他 著): ネットワークの書籍としてはあまりにも有名な一冊です。ネットワークの仕組みやプロトコルについて、図解や身近なものへの例えを使って丁寧にわかりやすく解説されています。初心者がネットワークの基礎を本質的に理解するのに大きく貢献する一冊となっています。
続いて、未経験者におすすめのサイトを2つ紹介します。
- Udemy:動画形式で学べるオンラインプラットフォームで、インフラエンジニア向けのコースも豊富です。Linuxやネットワーク関連の初心者向け講座から、コンテナやクラウドといった中級者向けの講座まで、幅広い内容が揃っています。セール時には手頃な価格で受講できるため、コストパフォーマンスも抜群です。 → 公式サイトはこちら
- ネットワークエンジニアとして:ネットワーク技術に特化した情報サイトです。実際の業務で役立つネットワーク技術を網羅的に学ぶことができ、このサイトひとつで中級レベルまで目指せるほど充実したコンテンツが提供されています。LinuCやCCNA対策のページもあるので、資格試験対策として使うのも良いでしょう。 → 公式サイトはこちら
勉強嫌いの方におすすめの勉強方法
資格試験や本となると、特に学生時代から勉強に苦手意識のある方は抵抗を感じるかもしれません。そんな勉強嫌いの方は、以下の2つの勉強方法を試してみてください。自分に合っていれば、資格試験や本より効率的に知識やスキルを習得できる可能性があります。
実機に触れる
「習うより慣れろ」タイプの方は、とにかく環境を用意して、コマンドを打って身に着けていくやり方を試してみてください。手を動かしながら学ぶことで、「勉強」という感覚を持たずに自然と知識を身につけられます。
自宅で簡単に試せる方法として、Oracle VirtualBoxのような仮想化ソフトウェアや、クラウドサービス(AWSやAzure等)でLinuxの仮想マシンを構築するのがおすすめです。こうした環境構築の手順はWeb上にたくさんあるため、手順通りに行えば比較的容易に準備が出来ます。
ITスクールやプログラミングスクールに通う
学生時代の勉強を、塾や予備校という「環境の強制力」を活用して乗り切った経験がある方には、スクールの利用もおすすめです。プロの講師によるサポートや実践的なカリキュラムが用意されているため、効率的に学習を進めることができます。独学に比べて孤独感も少ないため、モチベーションを維持しやすいのもメリットです。
独学の方向けの挫折対策
独学でやっていると、どうしても心が折れそうになることがあるかと思います。
- 「図解つきの本を読んでも、ググってもどうしてもわからないところがある」
- 「こんなことも理解できないなんて、自分は向いていないのではないだろうか…」
現役でエンジニアとして活躍している方も含め、上記のような悩みを抱えていた方は数多くいます。そんな時には以下のことを試してみてください。
技術系Q&Aサイトを活用する
検索しても解消できない問題が出たときは、技術系Q&Aサイトを活用するのがおすすめです。知りたいことやエラー等に関する質問をすると、知識を持ったユーザが回答してくれます。一度や二度のQ&Aではすべて解決できないこともありますが、行きづまったときに解決へのヒントを得るという意味では、非常に効果が高い手段となります。
代表的な技術Q&Aサイトとして、以下のようなものが挙げられます。
上記以外にも技術系Q&Aサイトは多数存在しており、インフラエンジニアやネットワークエンジニアに特化したものもあるので、いくつかブックマークして使えるようにしておくと便利です。
学習コミュニティに所属する
不安や孤独に悩んでいる場合は、学習コミュニティに所属するのも効果的な解決策の一つです。同じ目標や悩みを持つ仲間とつながることで、孤独感を和らげることができます。また、自分と似た課題を克服した経験を持つ方から具体的なアドバイスが得られることで、前に進むヒントを得られることもあります。
さらに、スクールやオンライン講座によくあるメンター制度を活用するのも有効です。技術的な質問だけでなく、未経験にありがちな悩みの相談まで対応してもらえることもあるため、挫折する可能性を大きく減らすことが出来ます。
転職活動の前に勉強を終わらせなくていい
ひとつ、今からインフラエンジニアになろうとしている方にお伝えしたいことがあります。それは、転職活動をする前に、全ての勉強を終わらせようとしなくていい、ということです。
これまでに記載したことを全て勉強しようとすると、相当な時間がかかります。その間にモチベーションが下がってしまい、インフラエンジニアになれなかったら元も子もありません。
また、資格試験や書籍、Webサイトにスクールなどでの学習がある程度進んでいれば、やる気や素質を買われて採用してもらえることもあります。多少勉強が進んだ段階で転職活動を始めたほうが上手くいきやすいです。
なお、転職活動の際は転職エージェントを利用することをおすすめします。IT業界の転職に詳しいエージェントのサポートを受けることで、現時点で自分が受かる可能性があるか、やりたいことはなにかを考慮して求人を紹介してくれます。未経験者が1人で転職先を探すのに比べて、質・スピードの両面で優れた転職活動をすることができます。
私自身も異業種からの転職活動の際に転職エージェントを利用しましたが、おそらく一人で転職活動をしていたら今勤めている会社は見つけることができなかったので、利用してよかったと感じています。
まとめ
確かにインフラエンジニアは専門知識が必要な仕事で、勉強は避けられません。しかし、学ぶべき分野を正しく押さえて、自分に合った勉強方法を選べば、学生時代に勉強が苦手だった方でも、ストレスなく知識やスキルを身につけることは十分可能です。
未経験者の場合はモチベーションを保つことが何より重要です。自分が一番抵抗なくできる勉強方法を見つけて、何かひとつ資格や本、スクールのカリキュラムの1つといった区切りの部分まで勉強をやりきることで自信をつけられると、インフラエンジニアへの転職の実現にぐっと近づきます。
インフラエンジニアは、他の職種に比べてもスキルと年収が比例しやすい職種です。キャリアアップして年収を上げていきたい思いがある方は、ぜひチャレンジしてみてください。
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