
ユキヒロさん(仮名・30代)のプロフィール
- 転職したときの年齢は? 32歳
- 転職前の職種は? 会計事務
- 転職後の職種は? エンジニア
- 転職活動に使ったサービスは? ヘッドハンティング
- 転職前後の収入の違いは? 340万円(経理)→380万円(プログラマー)→650万円(エンジニア)
- 性別は? 男性
- お住まいは? 大阪
そう考えたことがある方にとって、経理からエンジニアへの転職が本当に現実的なのか、気になるところではないでしょうか。
正直に言うと、経理として働いていた私も、最初から「エンジニアになろう」と決めていたわけではありません。会計事務の仕事をする中で、たまたま身近でエンジニアの仕事ぶりを目にしたことがきっかけで、プログラミングに興味を持ち始めました。
そこから独学でJavaを学び、趣味でゲームや会計ソフトを作るうちに、その積み重ねが未経験からの転職につながっていきます。今では開発だけでなく、クライアントとの要件定義や設計まで担当するエンジニアとして働いています。
ここでは、プログラミング未経験だった経理職の私が、どのようにしてエンジニアへ転職し、任される仕事の幅を広げていったのかを振り返りながら紹介します。経理とエンジニアは一見まったく別の仕事に思えますが、実際に両方を経験してみると、意外と重なる部分もありました。これから経理からのキャリアチェンジを考えている方の参考になれば幸いです。
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目次
高校卒業後、経理の仕事に就職
エンジニア転職への道程[1]

私は現在30代で、情報系の学科がある高校の出身です。とはいえ、通っていたのは簿記や会計を専門的に学ぶコースで、日々の授業もほとんどが経理まわりの内容でした。卒業前には簿記1級も取得しています。
プログラミングの授業自体はカリキュラムの中にありましたが、当時の私はほとんど関心を持たず、正直なところ聞き流していたというのが実情です。パソコンは仕事で困らない程度に使える、その程度の感覚でした。
高校卒業後は、会計事務を扱う企業に就職しました。複数の企業と提携し、それぞれの経理事務を請け負う会社で、私が担当していたのは、ある大手企業が運営する工場の部品の納品や受注をもとに、日々の売上を算出する業務です。
毎日のように数字と向き合っていると、入力した情報がどう処理され、最終的な数字にまとまっていくのか、その流れを意識する場面も自然と増えていきました。とはいえこの頃は、まさか自分がプログラミングを学び、後にエンジニアとして働くことになるとは想像もしていませんでした。経理はあくまで就職先として選んだ仕事で、ITは自分の人生とは縁のない世界だと思っていたのです。
そんな私の考えを変える出来事が、入社後にやってきます。
エンジニアとの出会い
エンジニア転職への道程[2]

私が勤めていた会計事務の会社は複数の事業を展開しており、その中にはIT関連の業務を行う系列会社もありました。当時、私たちが日々使っていた会計ソフトも、その系列会社が独自に開発したものです。汎用のOfficeソフトではなく、会社独自に作られた入力フォームを使って仕事を進めていました。
会計ソフトはクラウド上にデータを置き、複数の拠点から共有して利用できる仕組みになっていました。今でこそクラウドサービスは当たり前の存在ですが、当時の私にとっては「パソコンに入っているソフトを使う」感覚とは少し違うものだったのを覚えています。
そんなある日、その会計ソフトに不具合が発生し、日々の業務に支障が出るという出来事がありました。原因を確認するため、系列会社からエンジニアが駆けつけてきたのです。
私は、そのエンジニアがパソコンを操作しながら状況を確認し、原因を切り分けていく様子をずっと眺めていました。もちろん、何をしているのか詳しいことは分かりません。それでも、目の前の問題を一つずつ確認し、着実に解決へ近づけていく姿には、素直に見入ってしまいました。
「この人たちの仕事、なんかすごいな……」
当時の私が感じたのは、そんな単純な驚きです。それまでITの仕事を自分の将来の選択肢として考えたことは一度もありませんでしたが、この出来事をきっかけに、エンジニアという仕事が急に身近なものとして感じられるようになりました。
自分が毎日使っているソフトも、誰かが仕組みを作り、誰かが保守している。普段は意識していなかった「システムを作る側の仕事」があることを、このとき初めて実感したのです。この経験が、後に私がプログラミングへ興味を持つ大きなきっかけになります。
プログラミングに興味を持ったきっかけ
エンジニア転職への道程[3]

それからというもの、会計事務の仕事をしながら、エンジニアがどんな作業をしているのか気になるようになりました。ある日、思い切って「これは何をしているんですか」と声をかけてみたところ、それが「プログラミング」というものだと教えてもらいました。名前自体は聞いたことがあったものの、それまでの私にとっては、自分の生活とは結びつかない話だったのです。
話を聞くうちに、画面に並ぶ文字の一つひとつに意味があり、それらを正しく組み合わせることでコンピューターに処理をさせられることが分かってきました。たった一つの間違いで思ったように動かなくなることもあるという話も、何も知らない私にはひどく不思議で、同時に面白く感じられました。
「自分でも触ってみたい」
そう思うようになったのは、この頃です。高校時代の同級生に、プログラマーとして働いている友人がいたことを思い出し、さっそく連絡を取りました。参考書を買い込み、仕事終わりや休日の時間を使って、友人に教わりながら独学を始めます。
最初に選んだ言語は「Java」でした。見慣れない記号や英単語が並び、エラーが出ても何が間違っているのか見当もつかない。会計事務の仕事しか知らなかった私にとっては、まったく別世界の作業でした。
それでも、少しずつコードを書いては動かし、結果を確かめる。その繰り返しを続けるうちに、Javaの勉強を始めて1年が経つ頃には、簡単なプログラムなら自分で組めるようになり、エラーが出ても原因を調べながら修正できる程度には、少しずつ力がついていました。「Javaプログラミング能力認定試験2級」も、この時期に取得しています。
さらに、プライベートの時間を使ってJavaでちょっとしたゲームを作ったり、自分なりの会計ソフトを組んでみたりもしていました。仕事で毎日触れていた会計の知識と、独学で身につけたプログラミングを組み合わせて仕組みを作ってみる。この経験が、後に私が「経理をする側」から「システムを作る側」へ進むための、静かな足がかりになっていきました。
プログラマーとして転職
エンジニア転職への道程[4]

独学を続けるうちに、私が作ったゲームや会計ソフトのことは、いつしか系列会社のエンジニアたちの間でも知られるようになっていました。「経理の人が、趣味でここまで作れるのか」という話が、部長の耳にも入っていたようです。
あるとき、系列会社側で人手が足りていない作業があり、「試しに手伝ってみないか」と声をかけてもらいました。そこで簡単な修正作業などを経験したことが、その後の転職につながる最初のきっかけになりました。
そこでの働きぶりを見てもらったうえで、あらためて面談の機会が設けられ、簡単な実技課題のようなものもこなしました。その結果として、プログラマーとしての採用オファーをもらうことになったのです。いわゆるヘッドハンティングという形ではありましたが、実際にはこうした段階を踏んでの決定でした。
高校卒業後に会計事務の企業へ就職してから、10年近くが経とうとしていました。経理時代の年収は約340万円、プログラマーとして転職した直後は約380万円と、大きく跳ね上がったわけではありません。未経験である以上、年収が下がることも覚悟していたので、独学の実績を評価してもらえたうえで維持できたことには、正直ほっとした記憶があります。
転職先では、Javaをベースにしたゲーム開発に携わりました。独学で作っていたものと、仕事として行う開発とでは、当然ながら勝手が違います。自分一人で作るなら自分が納得すれば完成ですが、仕事では決められた仕様に沿って開発し、周囲と認識をすり合わせながら進める必要がありました。
そうした経験を積む中で、開発チームの中で担当する仕事の幅も少しずつ広がっていきました。コードを書くことだけでなく、仕様や設計について考える場面も増え、それまで遠い存在に見えていた上流工程の仕事も、少しずつ違った角度から見えるようになっていきました。
エンジニアとして活躍の幅を広げる
エンジニア転職への道程[5]

転職してから4年ほどが経った頃、私はコードを書く仕事だけでなく、クライアントとのやり取りや仕様の検討にも関わるようになっていました。「どう作るか」だけでなく、「そもそも何を作るべきか」という部分に興味を持つようになったのです。
そんな中、あるプロジェクトでリーダーを任されることになりました。クライアントとの打ち合わせから始まり、「こういう機能がほしい」という言葉をそのままプログラムにするのではなく、業務上の課題を整理し、それをどう実現するかを考える必要がありました。
そこから要望の分析や要件定義を担当し、基本設計、詳細設計へと進み、最終的には開発やテストといった下流工程まで、一連のプロジェクトに携わることになりました。
それまでの私は「どうコードを書くか」に意識が向きがちでしたが、プロジェクト全体を任されると、考えるべきことが一気に増えます。クライアントの要望を正しく理解できているか、開発する機能に抜け漏れはないか、完成したシステムが実際の業務で問題なく使えるか。コードを書く以外にも多くの仕事があることを、身をもって実感しました。
そして、ここで思いがけず役に立ったのが、以前の経理の仕事で培った感覚でした。
経理では、数字を正確に扱うだけでなく、決められたルールに沿って処理し、業務の全体像を理解したうえで作業を進める必要があります。システム開発でも、相手の業務を理解できなければ、本当に使いやすい仕組みは考えられません。
経理経験がそのままスキルになるわけではありませんが、「業務を理解すること」と「システムを作ること」を両方の視点から考えられるようになったことは、大きな強みになっていきました。
担当したプロジェクトは無事に完成し、品質の面でも評価をもらうことができました。プロジェクトリーダーとしての働きも認めてもらい、それをきっかけに、開発だけでなく上流工程も任されるエンジニアとして、キャリアを広げていくことになったのです。
現在の年収は約650万円。経理職だった頃と比べると、決して小さくない変化です。今は開発の現場に立つ後輩の指導にも携わりながら、日々仕事をしています。
最初から計画していたキャリアではありませんでした。経理の仕事をしている中でたまたまエンジニアの仕事に興味を持ち、分からないことを友人に教わりながら独学を続け、形にしたものを見てもらえたことが、次のステップにつながっていっただけです。
「面白そうだからやってみる」という小さな興味の積み重ねが、経理からのキャリアチェンジを考えている方にとって、何かのヒントになれば嬉しく思います。
もう一度「経理からエンジニアへ!プログラミング未経験で転職成功した体験談―30代・男性」を読む ↑
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