エンジニア歴12年、現在は個人でiOS・Mac・Webのプロダクトを開発・運用しながら、副業としてアプリ開発の仕事も受けている筆者が、実体験をもとに解説します。
先に答えを言ってしまうと、アプリ開発の副業は「最初は儲からない」が正解です。ただ、それは始め方を間違えた場合の話。在宅で、限られた時間でも、収入の柱をひとつ増やすことはできます。
この記事では、未経験の方も含めて「どう始めて、どう収益化していくか」を私が実際にやってきた手順と失敗をそのまま書きます。スキルの身につけ方、開発環境の用意、案件の取り方、そして月5万円までの現実的な道のりまで、現場の感覚で順番に整理しました。きれいごとは書きません。
目次
副業としてのアプリ開発を、私はこう始めた
まず私自身の話をします。意気込んで「よし、副業をやるぞ」と始めたわけではありませんでした。
自社のプロダクトが運用フェーズに入って、開発に少し余裕が出た時期がありました。そのとき考えたのは「稼ぎたい」より先に、「自分が普段使っている技術で、人の役に立てる場所はないか」ということです。
iOSもMacもWebも触れる。それを活かせる場所を探した結果が、クラウドソーシングでした。
最初の1件は、報酬のことはほぼ考えていません。目標は「きちんと納めて、評価をもらう」。それだけでした。
なぜそうしたか。クラウドソーシングは評価がゼロのうちは、どうしても不利だからです。実績のない人にいきなり大きな案件は来ません。だからこそ、小さく確実に納められる案件から入って、評価を1つずつ積む。
遠回りに見えて、これが一番早い。
最初の1件をどう取るかが、副業の最初の山です。これは断言できます。
アプリ開発の副業は本当に儲からないのか
ここが一番気になるところだと思います。お金の話を、煽らずにします。
副業アプリ開発の収入には、大きく2つの経路があります。
- 自分のアプリ(個人アプリ)の収益
- 受託・業務委託の報酬
自分のアプリは、積み上がるまでに時間がかかります。私の場合、個人アプリの初月の広告収益は、コンビニのコーヒー1杯にも届きませんでした。これが現実です。最初の数ヶ月は、ほぼゼロに近い。ここを「ゼロが普通」と思って始められるかどうかで、続くか折れるかが分かれます。
一方で受託の報酬は即金性があります。納めればその分が入る。だから「まず月5万円」を狙うなら、現実的なのは受託のほうです。ただ落とし穴があって、単価の低い案件ばかり受けると、時間あたりで見たときに本業より割に合わない、と感じる時期がどこかで必ず来ます。
私自身、受託の報酬で月5万円ほどが安定して入るようになるまで、8ヶ月ほどかかりました。単価の低い案件を一つずつ納めて評価を積み、ようやく声がかかる量が増えてきた、という順番です。
事業会社の代表として数字を見てきた立場から言うと。いや、もっと正直に言うと、自分のアプリで何度も期待を裏切られてきた人間として言うと、副業の収入は「最初の数ヶ月はほぼゼロ」を前提に始めたほうがいいです。
期待値を低く置く。そのほうが心が折れません。月5万円は、その先にあります。
収益化の道としては、クラウドソーシングのほかに、副業エージェントを使って案件を探す方法もあります。自分に合う探し方を選べばいい、くらいの距離感で考えておくと気が楽です。
在宅で、限られた時間をどうやりくりするか
副業の一番の敵は、たぶんスキル不足ではなく時間です。
私は平日の午前は別の業務にあてて、午後から夜にかけてエンジニアの作業をしています。そのなかで副業に回せるのは、1〜2時間程度。まとまった時間なんて、そうそう取れません。
だから工夫しているのは、「まとまった時間で一気に進める」のをあきらめることです。代わりに「30分の細切れでも進む状態」を作っておく。具体的には、作業を小さく分割して、次に何をやるかを毎回1行のメモで残しています。
次に机に座ったとき、迷う時間をゼロにする。これだけで、細切れの時間が無駄になりません。
在宅であることの相性の良さも、ここで効いてきます。通勤がない分を、そのまま作業に回せる。地味ですが、副業を続けるうえでこれは大きいです。
始めるのに必要なスキルと開発環境
「特別な環境がいるんじゃないか」と身構える方が多いのですが、そんなことはありません。
iOSアプリなら、MacとXcode、あとは自分のスマホがあれば始められます。スマホアプリの開発は、まずこの3つです。Webアプリも、必要なものはそこまで多くない。
それより今の時代に効いてくるのは、AIを使いこなす力だと思っています。私は開発の中心にClaude Codeを据えています。
コードを書く速度そのものより、「要件を整理して、作って、出てきたトラブルを調べて直す」という一連の流れを、AIと一緒に回せるかどうか。ここで、限られた副業の時間でも進む量がまるで変わります。
未経験の方ほど、ここは追い風です。昔は1つ目のアプリを動かすまでに、エラーの意味を調べるだけで何日もかかりました。今はその調べ物の大半をAIに任せられる。
つまり「最初の1本を完成させる」までのハードルが、以前よりずっと低くなっているということです。スキルがゼロでも、作りながら覚えていける時代になりました。
ただし、ひとつだけ大事なことがあります。それは、AIが出したものを鵜呑みにしないこと。最後は必ず自分の目で確かめる。ここを省くと、後で必ず痛い目を見ます。これは何度かやらかしたので、強めに言っておきます。
クラウドソーシングで案件を取るコツ
案件獲得で多くの人がやりがちなのが、応募文に「できること」を並べることです。気持ちは分かります。でも、それだけでは反応が薄い。
大事なのは、「相手の目的を理解している」と伝わることです。私はプロフィールにも「目的から逆算して、本当に必要なものだけ提案する」と書いています。応募の段階からこの姿勢を出すと、返信率が明らかに変わりました。
最初は評価がゼロなので、当然不利ではあります。でも、1件きちんと納めて評価がつくと、そこから声がかかりやすくなる。最初の1件は、できることの羅列ではなく、相手が何を解決したいのかを分かっている、と伝える。そこに全力を注いでください。
応募する案件の選び方も、最初のうちは少しコツがあります。報酬の大きさより、「自分が確実に納め切れるか」で選ぶこと。背伸びして大きな案件を取って、納期に間に合わずに評価を落とすほうが、よほど痛い。
1アカウントで活動する以上、評価は資産です。小さくても、確実に積む。地味ですが、これが収入を安定させる土台になります。
私の失敗談を2つ、正直に書きます
ここまで偉そうに書いてきましたが、私もたくさん失敗しています。副業を始める方の役に立つと思うので、2つ書きます。
ひとつ目。独立して間もない頃、依頼されたものを「とりあえず動くもの」から作り始めたことがあります。手を動かすのが楽しくて、早く形にしたかった。ところが後から、「本当に欲しかったのは、これじゃない」となって、ほぼ作り直しになりました。
ここで学んだのは、手を動かす前の30分です。「何のために作るのか」を相手とすり合わせるその30分が、後の何時間も節約してくれる。副業は時間が限られているからこそ、早く作りたい気持ちをぐっとこらえる。これが効きます。
ふたつ目。これは自分のアプリの話です。機能としては問題なく動くのに、ほとんど使われずに終わったアプリがありました。技術的にうまく作れたことと、人に使ってもらえることは、まったく別の話だったんです。
これは副業でアプリを作りたい方に、一番伝えたいことかもしれません。「すごいものを作る」より、「誰の、何を解決するか」を先に決める。そのほうが、結果的に喜ばれます。
意外だったのは、凝った機能よりも、シンプルで地味な機能のほうが長く使われたこと。これは作ってみるまで分かりませんでした。
やってみて分かる、副業の意外なメリット
もうひとつ、想定外だったことを。
始める前は「副業は本業の片手間」だと思っていました。でも実際は、逆でした。
外の案件で、他の人の課題に触れると、自分の自社プロダクトには無かった視点が手に入ります。副業で得た知見が、本業の開発に還ってくる。そういう往復が起きるんです。お金以外のリターンがある。これはやってみて初めて分かりました。
未経験からアプリ開発の副業を目指す方へ
未経験の方や、これから求人・案件を探そうという方に向けて、最後に一番大事なことを書きます。
いきなり大きなアプリを完成させようとしないこと。小さくても、自分で1つ作って世に出す。この経験が、何より効きます。作り切る過程で、必要なスキルは自然と分かりますし、それ自体が「作れる人」だという証明になります。
求人や業務委託の場でも、フリーランスとして案件を取る場でも、「世に出した実績」は言葉より強い。
プログラミングスクールや教材も手段の一つです。ただ、目的は「資格を取ること」ではなく「動くものを世に出すこと」だと、取り違えないでほしい。ここを間違えると、学び続けているのに前に進まない、という状態になりがちです。
副業を続けられるかどうかは、最後は「自分が手を動かすのを楽しめるか」にかかっていると思います。私自身、収益が立つ前から、作ること自体が面白かったから続きました。
最初の数ヶ月は収入ほぼゼロ、時間は足りない、評価もない。正直きついです。だからこそ、まず小さく始めて、続けられる形を見つけてください。
まとめ
アプリ開発の副業は、最初は儲かりません。けれど、評価を1件ずつ積み、限られた時間を細切れで使い、AIを味方につけて続ければ、月5万円は十分に現実的な目標です。未経験からでも、在宅でも、始め方さえ間違えなければちゃんと前に進めます。
大事なのは「動くもの」より「役に立つもの」を作る視点。そして、稼ぐことより先に「手を動かすのを楽しめるか」を確かめることです。まずは小さく1つ、世に出すところから始めてみてください。
その最初の1本が、きっと次の景色を変えてくれます。






























