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Web制作会社はやめとけって本当?きつい理由と、辞める前に見極めたい会社の違い

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Web制作会社はやめとけって本当?きつい理由と、辞める前に見極めたい会社の違い

毎日遅くまで残っているのに、給料がほとんど上がらない
修正依頼が重なり、いつもスケジュールに追われている
更新作業ばかりで、エンジニアとして成長している実感がない
Web制作会社から内定が出たものの、やめとけという声が気になる

Web制作会社について調べると、やめとけ、きつい、ブラックといった言葉がすぐに目に入ります。終電近くまで残っても給料が上がらない、修正のたびにスケジュールが崩れる、何年たっても同じコーディング作業から抜け出せない。こうした声には、たしかに根拠があります。

とはいえ、制作会社をひとまとめに切り捨てるのは早すぎます。企業から直接相談を受けて企画から公開後の改善まで持つ会社と、代理店や同業から降りてきたデザインデータを短納期でひたすらコーディングする会社とでは、働き方も身につく技術もまったく別物だからです。

やめとけが当たるのは、低単価の案件を数でこなし、納期と修正の主導権を持てず、人手不足を現場の残業で埋めている会社です。担当が更新作業や静的なHTML・CSSに偏ったまま年数だけが過ぎていく環境も、ここに入ります。

当たる会社かどうかは、次の3点でほぼ見分けられます。

①誰から仕事を受け、制作担当がクライアントとどこまで直接やり取りできるか
②更新作業だけでなく、CMS構築やJavaScript実装、設計まで任されるか
③見積もりと進行管理が機能し、無理な納期を現場の残業で埋めていないか

例外もあります。定時退社と安定した待遇を何より優先したい人と、Webアプリケーション開発を腰を据えて深めたい人は、優良な制作会社に入っても働き方が噛み合いません。サイトを作って納品するという仕事の性質そのものと合わないからです。

この記事では、Web制作会社がきついと言われる理由を構造から分解し、ハズレ会社の見分け方、辞めるか残るかの判断基準、制作経験が活きる転職先まで順に解説していきます。

目次

Web制作会社はやめとけって本当?先に結論を整理

同じWeb制作会社でも、会社によって働き方はまるで違う

Webサイトを作る会社、という括りだけで制作会社を判断すると見誤ります。クライアントと直接打ち合わせをして、課題の整理やサイト設計から実装、公開後の運用改善まで担う会社があります。その一方で、広告代理店や同業の制作会社から渡されたデザインデータを、指定された日までにコーディングするだけの会社もあります。

後者の現場では、クライアントが何を実現したいのか知らされないまま、指示書どおりに手を動かすことになります。原稿や画像の支給が遅れても、デザインの修正が重なっても、公開日は動きません。しわ寄せを受けるのは、最後の工程を担当する制作スタッフです。

この構造は、個人が作業を効率化しても変わりません。見積もりやスケジュールを管理し、クライアントと交渉する人が機能していなければ、同じ炎上が案件ごとに繰り返されます。

逆に、制作担当も企画や情報設計の段階から参加でき、工数の見積もりと進行管理がきちんと回っている会社なら、得られる経験も働きやすさも別物になります。見るべきなのは業態ではなく、仕事の受け方と制作体制です。

Web制作会社とは|システム開発の受託・自社開発との違い

Web制作会社は、企業のコーポレートサイト、LP、ECサイトなどの構築や、CMSの導入・運用をクライアントから請け負う会社です。案件によっては、企画やデザインから、HTML・CSSでの実装、公開後の保守まで担当します。

規模の小さい会社が多いのも特徴です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の職業解説でも、Web制作会社は社員10〜20人ほどの規模が多いとされています(出典:厚生労働省 job tag「Webデザイナー(Web制作会社)」)。制作担当が数人しかいない会社で受注が重なれば、一人あたりの負担が一気に跳ね上がるのは想像しやすいはずです。

業務システムやWebアプリケーションを作る受託開発会社とは、扱う成果物も技術も違います。制作会社でHTML・CSSの実装を何年積んでも、アプリケーション開発に必要な設計やデータベース、API連携を経験したことにはなりません。システム開発の受託でつらさが生まれる仕組みは、「受託開発はやめとけって本当?つらいと言われる理由と、やめとけが当たる会社・当たらない会社の見分け方!」で詳しく解説しています。

自社サービスを開発・運営する企業との違いは、自社開発と受託開発の働き方の違いで整理しています。

Web制作会社がやめとけ・きついと言われる理由

単価の安い案件を数でこなし、残業で埋め合わせる構造

Webサイト制作は、パソコンとソフトがあれば始められる仕事です。個人事業主から小さな制作会社まで次々に参入できるので、同じような案件を価格で奪い合う状況が生まれます。

安く請けた案件で利益を出すには、作業時間を削るか、案件数を増やすしかありません。ところが、ヒアリング、デザイン確認、実装、テストには一定の時間がかかります。品質を落とさずに削れる時間には限度があるので、結局は人を増やさないまま案件を詰め込み、足りない分を現場の残業で埋めることになります。

job tagの職業解説にも、締め切りが迫ったときやトラブルが起きたときには夜間や休日に作業することがあると書かれています(出典:厚生労働省 job tag「Webデザイナー(Web制作会社)」)。繁閑の波があること自体は、納期のある受託の仕事の宿命です。問題にすべきなのは、繁忙期を過ぎても残業が減らず、会社に人員配置や受注量を見直す動きがない場合です。これは個人の頑張りではどうにもならない、会社の売上の作り方の問題だと考えてください。

修正の繰り返しと短納期で、スケジュールが崩れやすい

Web制作では、デザインの確認がクライアントの社内決裁で止まったり、公開直前になって複数の部署から別々の修正が返ってきたりします。原稿や商品画像の提供が遅れても、広告の出稿日や新商品の発表日が決まっていれば公開日は動かせません。

前の工程が遅れた分は、コーディングと実装、テストの期間を削って吸収されます。時間が足りないまま進めると、表示崩れやブラウザごとの動作確認が甘くなり、公開後の修正対応まで増えていきます。

修正そのものは、Web制作では避けられません。差がつくのは、修正の回数や範囲を見積もりの段階で取り決め、追加の要望が出たら工数と公開日を再調整できているかどうかです。デザインの方向性が固まった後にひっくり返るような変更が入れば、本来は追加費用か納期の見直しを交渉する場面です。営業やディレクターがその交渉を避け、現場に丸投げしている会社では、制作担当が終わりの見えない手戻りに追われます。

ECサイトや大規模なコーポレートサイト、CMSのカスタマイズを含む案件ほど、確認するページと機能が増えるので、この差はさらに大きく出ます。

固定残業代込みの給与で、働いた時間の割に年収が伸びにくい

制作会社の求人では、月給に固定残業代が含まれているケースをよく見かけます。固定残業代は、一定時間分の時間外労働に対する割増賃金をあらかじめ定額で支払う仕組みで、制度そのものは違法ではありません。

厚生労働省は、固定残業代を賃金に含める場合、求人で次の3点をすべて明示するよう求めています(出典:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」)。

①固定残業代を除いた基本給の額
②固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法
③固定残業時間を超えた時間外労働に対して、割増賃金を追加で支払う旨

応募前に、求人票がこの3点を満たしているかを確かめてください。どれかが欠けている求人は、それだけで給与の実態が読めません。面接や内定時の条件提示で、必ず書面で確認しておくべきです。

固定残業代があること自体より、実際の残業時間と給与のバランスのほうが重要です。毎月の残業が固定残業時間を超えているのに追加の手当が出ない、勤怠の記録と実際の退勤時間が合っていない。こうした状態が当たり前になっている会社は、待遇以前に労務管理が機能していません。

もう一つ、小規模な制作会社では、役職のポストそのものが少ないという事情もあります。担当できる技術が増えても、それを評価して給与に反映する仕組みがなければ、長く勤めるほど年収が上がるという期待は持てません。

更新作業や静的コーディングばかりで、技術の幅が広がらない

入社直後に、既存サイトのテキストや画像を差し替えたり、デザインデータをHTML・CSSで再現したりするのは、Web制作の基礎を固めるうえで必要な経験です。最初から高度な実装を任されないのは当然です。

見過ごせないのは、1年、2年と経っても担当がそこから広がらないケースです。毎月の更新作業と、デザインどおりの静的ページ制作を繰り返すだけで、JavaScriptで動きのあるUIを組む機会も、WordPressのオリジナルテーマを一から作る機会も回ってこない。成長が止まっていることに気づくのは、たいてい1年を過ぎたあたりです。

この状態が続くと、転職市場とのずれが目に見えて広がります。Web系事業会社のフロントエンド求人では、TypeScriptやReact、Vue.jsを使ったコンポーネント開発、Gitでのバージョン管理、コードレビューのあるチーム開発といった経験が当たり前のように並びます。jQueryと簡単なWordPressのカスタマイズで止まったまま3年目を迎えると、応募できる求人がかなり絞られてしまいます。

成長を測る物差しは、在籍年数ではありません。任される業務の範囲と難しさが、半年前より広がっているかどうかです。制作経験を土台にフロントエンドエンジニアを目指すなら、その先のきつさも「フロントエンドエンジニアはやめとけって本当?きつい理由と向いてない人の特徴を現役エンジニアが解説!」で確認しておいてください。

少人数の職場で、相談相手もコードレビューもない

制作担当が数人しかいない会社では、その人たちの技術がそのまま会社の上限になります。技術を教えられる先輩がいない、コードレビューの仕組みがない、という職場はめずらしくありません。

経験の浅いスタッフが、実装の良し悪しを判断してもらえないまま納品を続けるとどうなるか。動いてはいるものの、後から手を入れにくいコードが積み上がっていきます。次の改修で修正範囲が広がり、作業時間が膨らむのは自分自身です。悪い癖が直らないまま年数だけが重なるのも、ここが原因です。

フルリモートや外注メンバー中心のチームでは、エラーで詰まったときに誰に聞けばいいのかが決まっていないと、解決までに何時間も溶けます。未経験で入社した人が、相談相手のいない在宅勤務で立ち上がれずに辞めていくのは、本人の努力不足というより体制の問題です。

面接では、研修制度があるかを聞くだけでは足りません。コードレビューは誰がどんな基準でやっているのか、実装で迷ったときに誰へどう相談するのか。ここまで具体的に聞いて、答えに詰まる会社は要注意です。

代理店や同業からの下請けだと、裁量も実績も残らない

広告代理店や大手制作会社から案件を受ける会社では、制作スタッフがエンドクライアントと話す機会はほとんどありません。サイトの目的や背景を知らされず、渡されたデザインデータと指示書をもとに組み上げるだけでは、なぜこの構成なのか、どんな成果を求められているのかを学ぶ機会がありません。

転職のときにもっと響くのが、実績を見せられないことです。代理店経由の案件は、守秘義務の関係で制作物の公開やクライアント名の開示ができないことが多く、ポートフォリオに載せられません。実績ページが長く更新されていない制作会社があるのは、この事情も関係しています。

ただし、公開できない案件でも、職務経歴書で説明することはできます。社名やURLを伏せたうえで、業種、サイトの種類と規模、自分の担当工程、使った技術、工夫した点を書けば、採用担当者には十分伝わります。たとえば次のような書き方です。

大手通販企業の新商品キャンペーンLP(非公開案件/制作期間3週間)
担当:デザインデータからのコーディング、JavaScriptによるスライダーとフォームの入力チェック実装
工夫:画像の遅延読み込みを取り入れ、スマートフォンでの表示速度を改善

公開できないから書けないと諦めず、案件ごとに担当と工夫を書き留めておく習慣をつけておくと、転職のときに大きな差になります。

Web制作会社はなくなる?AI・ノーコードの影響

Web制作会社がまるごと消えることはありません。ただし、デザインどおりにページを組むだけの仕事は確実に減ります。

企業がWebサイトを持つこと自体は、ほぼ当たり前になっています。総務省の令和7年通信利用動向調査によると、常用雇用者100人以上の企業のうち、自社のホームページを開設している割合は93.3%でした(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」)。サイトを作り、直し、運用する需要がなくなる気配はありません。

変わっているのは、誰がそれを作るかです。job tagの職業解説でも、Webサイトを簡単に作れるツールの普及で、制作会社ではなく個人事業主に発注したり自社で作ったりする企業が出てきていること、生成AIを使ったWebデザインとの競争が起きていることに触れています(出典:厚生労働省 job tag「Webデザイナー(Web制作会社)」)。テンプレートで済む小規模サイトや、キャンペーン用の簡単なLPほど、制作会社に回ってこなくなっていくはずです。

これから起きるのは、制作会社の二極化です。クライアントの課題を整理して情報設計やUI/UXを提案でき、複雑なCMS構築やアクセシビリティ対応、公開後の分析と改善まで持てる会社は、むしろ価値が上がります。反対に、安さだけを武器にテンプレート的な制作を請けている会社は、価格と仕事量の両方で苦しくなります。

働く側にとっても、どちらの会社にいるかで5年後の市場価値が変わります。AIがコードを書く時代に問われるのは、出てきたコードが本当に正しいかを検証し、要件に合わせて組み直せる力です。コーディングの速さだけで勝負している環境にいるなら、早めに担当範囲を広げる手を打ってください。

それでもWeb制作会社で得られる経験はある

ここまで厳しい話を続けてきましたが、制作会社には制作会社でしか積めない経験もあります。大事なのは、それを期間を区切って取りにいく意識です。

短期間で多くの案件と実装パターンに触れられる

LP、コーポレートサイト、ECサイト、メディアサイトと、目的も構成も違うサイトに次々と関われるのは、制作会社ならではです。WordPress以外のCMSやECプラットフォームに触れられる会社なら、技術の引き出しはさらに増えます。

案件ごとにデザインも要件も違うので、レスポンシブ対応、ブラウザごとの表示の差、他社が作った既存コードの改修といった、教科書には載っていない実装上の課題に何度もぶつかります。やったことのない実装を納期付きで任される環境は、伸びる人にとってはこれ以上ない訓練の場です。

もっとも、毎回同じ型の作業を繰り返すだけなら、案件数がいくら多くても経験は増えません。新しい実装を試させてもらえるかどうかで、同じ1年の中身はまるで変わります。

デザイナー・ディレクターと組んで、公開まで走り切る

Webサイトは、コードを書くだけでは完成しません。デザイナーの意図を汲み取って再現し、ディレクターと仕様やスケジュールをすり合わせながら、公開までこぎつけます。

表示速度や保守性、ブラウザ対応といった制約を踏まえて、デザイナーに代替案を出す。実装上の問題を、技術に詳しくないメンバーにも分かる言葉で説明する。こうした協業の経験は、Web系事業会社でフロントエンドエンジニアとして働くときにもそのまま活きます。

社内で職域を広げられる会社もある

挑戦を認める社風の会社なら、デザイナーから実装担当へ、コーダーからフロントエンドエンジニアへ、制作担当からディレクターへと、社内で役割を広げていけます。

WordPressのカスタマイズを担当していた人がPHPの理解を深めて、API連携や独自機能の開発に手を広げる道もあります。進行管理を経験し、要件整理や見積もりまで任されるようになれば、ディレクションのキャリアが開けます。残るなら、次の職場でも評価される工程を経験できているかを、常に意識しておいてください。

やめとけが当たる制作会社・当たらない制作会社の見分け方

制作会社の良し悪しは、公式サイトの見栄えや求人票のキャッチコピーでは判断できません。会社サイトで仮説を立て、求人票で労働条件を確かめ、面接で現場の実態を裏取りする。この順番で情報を集めると、ハズレをかなりの確率で避けられます。

制作実績ページの更新頻度と、担当範囲の書き方を見る

最初に開きたいのは、制作実績のページです。直請けの案件はクライアントの許可を得て掲載しやすいので、最近の実績が継続的に追加され、クライアントの業種にも幅がある会社は、直接の取引をしっかり持っていると考えてよいでしょう。

逆に、実績の更新が何年も止まっている会社は、下請け中心で公開できない案件ばかりになっている可能性があります。更新が止まっているだけで断定はできないので、面接で理由を聞く材料にしてください。

見落としやすいのが、各実績に担当範囲が書かれているかどうかです。企画・設計からなのか、デザインとコーディングだけなのか、CMS構築まで含むのか。担当範囲を書き分けて掲載している会社は、自社がどこまで持っているかを把握し、それを強みとして打ち出せている会社です。反対に、どの実績もサイトのキャプチャとクライアント名だけ、という会社は、自社が担当した工程を面接で具体的に聞いてみてください。

制作担当の人数と年齢層から、人が定着しているかを読む

制作担当が数人しかいないのに、実績ページに大量の案件が並んでいる会社は、一人あたりの負担がかなり重いと見てください。技術を教えられる人がいなければ、入社後の成長も自分ひとりで補うことになります。

社員の年齢層も手がかりになります。若手が多いこと自体は問題ありません。気にすべきなのは、30代以上の経験者がほとんどおらず、技術リーダーや教育担当も見当たらない会社です。経験を積んだ人から順に辞めている可能性があるからです。

面接では、制作チームの人数と構成、平均的な勤続年数、入社後に誰が指導を担当するのかを聞いてください。離職率のような数字は開示してもらえないこともありますが、チームの体制とレビューの仕組みなら答えられるはずです。

求人票の固定残業代と労働条件をチェックする

求人票では、先ほど紹介した固定残業代の3点に加えて、年間休日、休日出勤の扱い、振替休日や代休が実際に取れているかを確認します。固定残業時間が長めに設定されている求人は、繁忙期の実際の残業時間を聞くきっかけにしてください。

みなし労働時間制と書かれている場合は、どの制度を採用していて、実際の労働時間をどう把握しているのかまで聞いておきます。制度の名前がついていても、残業代を払わなくてよくなるわけではありません。

給与の内訳や残業時間の管理について質問したとき、根拠を示して説明してくれるかどうかも、会社の誠実さを測る材料になります。

担当業務がコーディングだけで終わらないか聞く

求人票の使用技術欄に、Git、TypeScript、React、Vue.jsといった名前が並んでいても、安心するのはまだ早いです。会社として対応できる技術と、入社後に自分が担当する技術は別物だからです。

面接では、配属予定の案件の種類と、最初に任される工程を具体的に聞いてください。半年後や1年後にどんな役割を期待されているのか、CMS構築やJavaScriptの実装に関われる時期の目安はあるのか。幅広い仕事を任せます、という答えだけでは判断材料になりません。直近の案件で使った技術と、制作担当がどこまで関わったのかを、実例で話してもらいましょう。

面接で聞いておきたい質問

ここまでの確認項目を、面接でそのまま使える質問にまとめておきます。

直近の案件のうち、クライアントから直接受けた仕事と、代理店経由の仕事はどのくらいの割合ですか
デザインの修正や原稿・素材の遅れが発生したとき、公開日や工数はどのように調整していますか
入社1年目の制作担当は、どんな案件のどの工程を担当していますか
コードレビューは誰が、どのタイミングで行っていますか
制作チームの人数と平均的な勤続年数、入社後の指導体制を教えてください

答えの中身と同じくらい大事なのが、具体性です。修正の扱いについて、お客様の要望には柔軟に対応しています、としか返ってこないなら、追加工数や納期をどう管理しているのかは分からないままです。契約時の取り決めや、実際に調整した事例まで説明できる会社のほうが、現場が守られていると判断できます。

確認項目安心材料になる回答注意したい回答
受注の仕方直請けの割合と、制作担当が入る工程を具体的に説明できる案件によります、で終わり、担当範囲の説明が出てこない
修正への対応修正回数の上限や、追加分の見積もりと納期調整のルールがある現場でなんとか対応してもらっている
教育とレビューレビュー担当と実施のタイミングが決まっている分からないことは各自で調べてもらっている
担当業務の広がり1年目の人が任されている工程を実例で話せる幅広く経験できます、だけで具体例がない

一つの答えだけで合否を決める必要はありません。複数の答えを組み合わせて、残業が増える構造がないか、技術を伸ばせる環境かを判断してください。

とはいえ、面接では建前の答えが返ってくることもあります。実際の残業時間や、入社した人がどの工程を任されているかは、その会社に人を紹介してきた転職エージェントのほうが把握していることがあります。エージェントに相談するときは、求人を紹介してもらうだけで終わらせず、次のようなことまで聞いてみてください。

この会社から過去に入社した人は、最初にどんな工程を任されていますか
直請けと代理店経由の案件の割合は、どのくらいですか
繁忙期の残業時間と、入社した人の定着状況はどうですか

制作会社出身者の相談先としては、経験者向けの求人を探すならレバテックキャリア、コーダーかフロントエンドかディレクションかで方向性を迷っているならギークリー、経験が浅い人や地方で転職先を探す人はワークポートが使いやすいはずです。3社の違いは記事の最後で詳しく紹介します。

Web系の転職サービスをもっと幅広く比較したい人は、「Web系転職サイトおすすめ31社を現役エンジニアが厳選!未経験OKや女性向けあり!」でまとめています。

Web制作会社をやめとけが当てはまる人・向いている人

やめておいたほうがいい人

まず、定時退社と安定した待遇を何より優先したい人です。納品前にスケジュールが動く受託制作の働き方は、どんなに管理の行き届いた会社でもゼロにはできません。残業を抑えている制作会社もありますが、繁忙期の波を受け入れられないなら、最初から別の業態を選んだほうが後悔しません。

次に、Webアプリケーション開発やモダンなフロントエンド技術を、腰を据えて深めたい人です。サイト制作が中心の会社では、TypeScriptとReactを使った継続的な機能開発、テストの自動化、アプリケーションの設計に触れる機会はどうしても限られます。目指す技術と日々の業務が一致しないまま働き続けるのは、時間がもったいないと言わざるを得ません。

そして、クライアントからの修正依頼や納期の調整そのものに強いストレスを感じる人です。納品して終わる仕事より、一つのサービスを長く改善し続ける仕事に魅力を感じるなら、事業会社の開発職やインハウスのWeb担当のほうが合っています。

制作会社が向いている人・期間を区切って在籍する価値がある人

短期間でいろいろなサイト構成や実装パターンに触れ、引き出しを増やしたい20代には、制作会社は十分に価値のある環境です。案件ごとに違うデザインと要件に向き合うことで、実装の幅が一気に広がります。

デザインと実装の両方に興味があり、ディレクションやクライアントへの提案にも挑戦したい人も向いています。制作物だけでなく、案件の進め方や関係者との調整まで経験できれば、キャリアの選択肢がかなり広がります。

将来、フリーランスとしてWeb制作を請けたい人にとっても、見積もりから納品までの流れとクライアント対応を間近で学べるのは大きなメリットです。ただし、在籍しているだけで独立の力が身につくわけではないので、担当業務を自分から広げにいく姿勢が前提になります。

今の制作会社がつらい・辞めたい人へ|辞める前の判断基準

つらさの原因が会社なのか、制作の仕事そのものなのかを切り分ける

辞めたいと感じたら、最初に何がつらいのかを切り分けてください。残業が多い、人が足りない、下請け中心で裁量がないといった不満なら、原因は今の会社にあります。この場合は、直請けを中心に扱い、進行管理と教育体制が整った制作会社や、事業会社のインハウスWeb担当に移れば、同じWeb制作の仕事でも働き方は大きく変わります。

反対に、サイトを納品したら関わりが終わることに物足りなさを感じる、もっと複雑な機能を作りたい、技術選定や設計に関わりたい、という不満なら、制作会社を変えても解決しません。自社サービスの開発企業やWebアプリケーションの受託開発会社など、業態や職種そのものを変える方向で考えるべきです。

ここを取り違えると、転職しても同じ悩みを繰り返します。転職先を探す前に、紙に書き出してでも整理しておくことをおすすめします。

転職を考えていいサイン

次のような状態が続いているなら、今の会社に残ることだけを前提にせず、転職活動を始めていい段階です。

入社から2年ほど経っても、担当が更新作業や静的コーディングから広がらない
繁忙期が終わっても残業が減らず、会社に工程や人員を見直す動きがない
コードレビューも技術の相談先もなく、成長を自力だけで補っている
担当した案件の多くが非公開で、職務経歴書にどう書けばいいか分からない

社内で担当範囲を広げてもらえる見込みがあるか、上司に相談して業務改善が進むかを確かめてから判断しても、遅くはありません。ただ、相談しても具体的な改善策が出てこず、同じ状態が半年以上続いているなら、外に目を向けるには十分な理由です。退職を決めてから動くより、在職中に求人を見て自分の市場価値を確かめておくほうが、選べる転職先は確実に広がります。

残るなら、次の1年で職務経歴書に書ける実績を作る

今の会社に残ると決めた場合は、次の1年で何を経験し、職務経歴書にどんな一行を加えるのかを、先に決めておいてください。

たとえば、JavaScriptで動きのある機能を実装する案件が来たら、真っ先に手を挙げる。WordPressの既存テーマを部分的に直すだけでなく、オリジナルテーマを一から構築する案件を取りにいく。社内にGitやコードレビューの仕組みがなければ、まず自分の担当分からGitで管理し、先輩に差分を見てもらう形を提案してみる。社内でどうしても機会がなければ、TypeScriptとReactで小さなアプリを作ってGitHubに置き、設計の意図をREADMEで説明できる状態にしておく。

このとき意識してほしいのは、使った技術名を並べることではなく、どんな課題に対して、なぜその方法を選び、何が改善したのかを語れることです。採用担当者が知りたいのは、在籍年数ではなくそこだからです。1年後に担当範囲が広がる見込みがどうしても立たないなら、その時点で転職先を探し始めてください。

Web制作会社から移るなら|経験が活きる転職先

Web系の自社開発・事業会社でフロントエンドエンジニアになる

制作会社出身者にとって、いちばんの本命がここです。デザインを正確に再現するマークアップの精度と、デザイナーと組んで仕事を進めてきた経験は、Web系事業会社のフロントエンドエンジニアとしてそのまま評価されます。

ただし、サイトのマークアップ経験だけでは、アプリケーションのフロントエンド開発に求められるスキルには届きません。TypeScript、ReactやVue.jsといったフレームワーク、Gitを使ったチーム開発、API連携など、応募先が求める技術を事前に確認し、業務で触れられないものは個人開発で補っておく必要があります。職務経歴書では、制作会社での実務と個人開発の経験を分けて書くと、採用担当者が判断しやすくなります。

自社開発企業を狙うなら、「自社開発企業への転職に強いエージェント・サイト9選―未経験OKや社内SE向けも!」で各社の強みを比較しています。移った後のギャップを減らしたい人は、「自社開発エンジニアはやめとけ?そう言われる理由と転職前に知っておきたい現実」にも目を通しておいてください。

事業会社のインハウスでWebサイトを運用する

事業会社のインハウスWeb担当は、自社のコーポレートサイトや採用サイト、LPを継続的に管理し、改善していく仕事です。複数のクライアントの納期に同時に追われる受託制作とは違い、自社の事業を理解したうえで、腰を据えて改善を積み重ねられます。

ただ、インハウスだから残業がないとは思わないでください。キャンペーンやサイトリニューアルの時期には、業務が一気に集中します。もう一つ注意したいのが、アクセス解析やSEO、広告運用、社内各部署との調整など、マーケティング寄りの仕事が増える点です。コードを書く時間を増やしたい人は、求人の業務内容をよく確認してから応募してください。

上流から運用まで持つ制作会社へ移る

Webサイトを作る仕事そのものは好きで、つらいのは今の会社の受け方と労働環境だけ。そういう人は、業態を変えずに会社だけを変える道があります。

狙いたいのは、クライアントとの直接取引があり、制作担当が企画や情報設計の段階から関われる会社です。公開後の改善まで担当する案件を持っていれば、作って終わりではなく、サイトがどう使われているかを踏まえた経験も積めます。見極め方は、先ほどの見分け方の章をそのまま使ってください。直請けの比率が高いことに加えて、修正対応のルールと制作チームの人員配置まで確認できれば、今の会社と同じ失敗は避けられます。

Webアプリ・システム開発の受託会社へ移る

サイト制作から、機能開発や業務システムの構築へ軸足を移したいなら、Webアプリケーションやシステム開発を手がける受託会社が候補に入ります。フロントエンドの実装経験を足がかりに、API連携やデータベース、バックエンドの処理へと担当範囲を広げていく方向です。WordPressのカスタマイズでPHPに触れてきた人なら、Laravelを使う開発会社とは接点を作りやすいはずです。

ただし、制作会社での経験がそのままシステム開発の実務経験として扱われるわけではないので、求人が求める開発工程と技術を確認し、足りない部分は学習で埋めておく必要があります。システム開発の受託会社を選ぶときの見極め方は、「受託開発はやめとけって本当?つらいと言われる理由と、やめとけが当たる会社・当たらない会社の見分け方!」でまとめています。

フリーランスとしてWeb制作を請ける

見積もり、クライアントとの調整、コーディング、CMS構築、公開までの流れを一通り経験しているなら、その経験はフリーランスとして制作案件を受ける土台になります。

とはいえ、独立すれば営業、見積もり、契約、納期管理、請求、継続案件の確保まで、すべて自分の仕事になります。案件が途切れれば収入も途切れるので、技術力だけで独立を決めるのは危険です。独立のリスクは「フリーランスエンジニアやめとけは本当?会社員を辞める前に知っておきたいこと」で、フロントエンドでの独立の進め方は「フリーランスのフロントエンドエンジニアになるには?未経験からの始め方」で確認できます。

Web制作会社のやめとけに関するよくある質問

未経験で最初の就職先をWeb制作会社にするのはあり?

ありです。実務でHTML・CSSを書き、サイト制作の進め方とチームでの仕事を一通り学べる環境は、最初の1社として悪くありません。

条件は、教育体制がある会社を選ぶことです。質問できる先輩がいるか、コードレビューを受けられるか、更新作業だけでなく段階的に担当を広げてもらえるか。この3つが曖昧な会社は、未経験者が入るには厳しい環境です。得意分野や社風まで含めて就職先を選びたい人は、未経験・学生向けのWeb制作会社の選び方も参考にしてください。

制作会社のコーダーからWebエンジニアになれる?

なれます。HTML・CSSの実装経験に、JavaScriptでの機能開発、TypeScript、ReactやVue.jsなどのフレームワーク、Gitを使ったチーム開発の経験を上乗せできれば、Web系事業会社のフロントエンド求人に十分応募できます。

業務でそこまで触れられない場合は、個人開発で補うのが近道です。転職のときは、制作会社で担当した工程と工夫を、先ほどの記入例のような形で整理しておくと、コーダー出身であることがむしろ強みとして伝わります。

Web制作会社には何年いれば転職で評価される?

何年いれば評価される、という基準はありません。見られるのは、在籍中に何を任され、どんな技術と工程を経験したかです。

目安として、入社から2年前後たっても担当が更新作業や静的コーディングから広がっていないなら、転職を含めてキャリアを見直すタイミングです。反対に、1年半ほどの在籍でも、CMS構築や動的な実装、クライアントとの調整を具体的に語れれば、経験として十分に評価されます。

AIでWeb制作会社のコーダーの仕事はなくなる?

デザインどおりにHTML・CSSを組むだけの作業は、確実に減っていきます。テンプレートで済む小規模サイトなら、AIやノーコードツールでかなりの部分が片づくからです。

残るのは、設計、実装方針の判断、品質の検証、アクセシビリティ対応、外部システムとの連携、公開後の改善まで担える人です。AIが出したコードの誤りに気づいて直せる人は、むしろ重宝されます。AI時代に磨くべきスキルは、「AIに仕事は奪われない!エンジニアが今すぐ磨くべきスキルと戦略」で整理しています。

まとめ

Web制作会社はやめとけ、という言葉は、制作会社全体への評価としては言い過ぎです。当たるのは、低単価の案件を数でこなし、代理店や同業からの下請けに頼り、修正と納期の管理を現場の残業で埋めている会社です。

今の会社に残るか、転職するかを考えるときは、冒頭の3点を自分の職場に当てはめてみてください。

①受注の仕方:直請けの案件があり、制作担当も企画や設計の段階から関われるか
②担当範囲:CMS構築やJavaScriptの実装など、次のキャリアにつながる工程を任されているか
③体制:見積もりと進行管理、コードレビューの仕組みが機能しているか

つらさの原因が会社の受け方や労働環境にあるなら、別の制作会社や事業会社のインハウスWeb担当に移るだけで、働き方は大きく変わります。サイトを作って納品する仕事そのものから離れたいなら、自社サービスの開発やWebアプリケーション開発へ、業態や職種ごと切り替える段階です。

残ると決めた場合も、次の1年で担当する技術と、職務経歴書に加える実績を先に決めておいてください。どれだけ長くいたかより、何を任されたかがそのまま市場価値になります。

商流や現場の残業時間は、求人票や面接だけでは見えにくい情報です。第三者の目も借りながら判断することが、制作会社からの転職で失敗しないための近道になります。

もう一度「Web制作会社はやめとけって本当?きつい理由と、辞める前に見極めたい会社の違い」を読む ↑

Web制作会社からの転職を相談できる転職エージェント3選

制作会社からの転職で厄介なのは、求人票に書かれた、上流工程から携われる、残業少なめ、モダンな技術を使える、といった条件が、配属先で本当に実現するのかを外から確かめにくいことです。

エージェントを使うときは、求人を紹介してもらうだけで終わらせず、直請けと下請けの割合、配属後の担当業務、現場の残業時間、教育やコードレビューの体制について、担当者が把握している範囲を聞いてください。分からないことは企業に確認してもらい、面接でも自分で確かめる。1社だけに頼らず、2社ほどを併用して同じ企業の情報を突き合わせると、精度が上がります。

レバテックキャリア|制作経験をWeb系の経験者求人につなげたい人

レバテックキャリアは、ITエンジニアとクリエイターの転職支援に特化したエージェントです。WebデザイナーやWebディレクターも対象職種に含まれていて、担当者が企業の開発体制や技術スタックをよく把握しているので、技術的な話が通じやすいのが強みです。

制作会社で2〜3年以上の実務を積み、Web系事業会社のフロントエンドエンジニアや、上流から持つ会社へ移りたい人と相性がいいサービスです。面談では、HTML・CSSの実装に加えて、CMS構築やJavaScriptの経験、クライアントとの調整経験を具体的に伝えてください。目指す求人で評価される経験と、足りないスキルがはっきりします。

実務経験がなく、未経験者向けの求人を中心に探している人には向いていません。

詳細はこちら / 評判・口コミはこちら

ギークリー|コーダー・フロントエンド・ディレクターで方向性を迷っている人

ギークリーは、IT・Web・ゲーム業界に特化した転職エージェントです。エンジニア職だけでなく、WebデザイナーやWebディレクターといった職種も幅広く扱っています。

コーダーとして専門性を磨くのか、フロントエンドエンジニアに寄せるのか、ディレクションへ進むのか。方向性がまだ固まっていない制作会社出身者が相談するのに向いています。これまでの担当業務を整理して伝えれば、自分の経験がどの職種で評価されるのかを確かめながら転職先を絞り込めます。

求人は一都三県と関西が中心で、未経験者向けの求人は扱っていません。それ以外の地域で転職したい人や、実務経験がまだない人は、ほかのサービスと併用してください。

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ワークポート|経験が浅い人や地方で求人を探したい人

ワークポートは、もともとIT・Web・ゲーム業界に特化したサービスとして始まった総合型の転職エージェントです。全国47都道府県に拠点があり、地方の制作会社から転職したい人でも相談しやすいのが特徴です。20代であれば、未経験可の求人の紹介にも対応しています。

経験が1〜2年と浅く、経験者向けのエージェントでは紹介先が限られてしまう人や、地元で転職先を探したい人に向いています。面談では、残業を減らしたい、とだけ伝えるのではなく、今の残業の実態と、次の職場で避けたい働き方を具体的に話してください。紹介される求人の精度が変わります。

35歳以上で経験を積んだ人は、経験を評価してくれる特化型のエージェントのほうが合っています。

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担当者がすべての現場事情を把握しているとは限らないので、説明の根拠を確かめ、重要な条件は企業側にも直接確認しておきましょう。ほかのWeb系転職サービスも比較したい人は、「Web系転職サイトおすすめ31社を現役エンジニアが厳選!未経験OKや女性向けあり!」を参考にしてください。

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