SIerでシステム開発に携わっているものの、客先との調整や納期対応に追われる働き方に疲れていませんか?
「もっと自社の事業に近いところで仕事がしたい」
「システムを作って終わりではなく、その後の成果まで見届けたい」
「将来は上流工程やIT企画にも関わりたい」
そう感じているなら、SIerから社内SEへの転職は検討する価値があります。
実際、30代でSIerから大手メーカーの社内SEへ転職し、残業がほとんどなくなったという事例もあります。筆者自身も、九州の国立大学を卒業してSIerへ入社し、SEとしてシステム開発を経験した後、大手メーカーの社内SEへ転職した一人です。
現在はAIを活用したバイブコーディングにも取り組み、業務効率化につながるツールの作成などを行っています。
この記事では、SIerから社内SEへ転職するメリットだけでなく、転職後に後悔しやすいポイントや面接で評価される経験、必要なスキル、年齢別の転職戦略まで解説します。
「SIerの経験しかないから、社内SEへの転職は難しいのでは?」
そう考えている方こそ、これまで担当してきた仕事を一度棚卸ししてみてください。SIerで身につけた経験の中には、社内SEの仕事でそのまま活かせるものが数多くあります。
目次
- 1 SIerから社内SEへの転職は可能?結論から言えば十分狙える
- 2 SIerから社内SEへ転職する5つのメリット
- 3 SIerから社内SEへの転職で知っておきたい4つのデメリット
- 4 SIer出身者が社内SEの面接で評価される3つの強み
- 5 SIerでの経験を職務経歴書でどう書くか
- 6 SIerから社内SEへの転職に必要なスキル・資格
- 7 20代・30代・40代で変わる社内SEへの転職戦略
- 8 SIerから社内SEへの志望動機の作り方
- 9 SIerから社内SEへの転職を成功させる4つのステップ
- 10 筆者のプロフィールとSIerから社内SEへの転職経験
- 11 SIerから社内SEへの転職でよくある質問
- 12 まとめ|SIerで積んだ経験は社内SEへの転職で活かせる
SIerから社内SEへの転職は可能?結論から言えば十分狙える
結論から言うと、SIerから社内SEへの転職は十分可能です。
むしろ、SIerでシステム開発や顧客折衝、要件定義、プロジェクト管理などを経験している人は、社内SEの求人で評価される材料をすでに持っています。
現在の社内SE求人を見ても、社内システムの企画から導入、開発、運用保守まで幅広く担当するポジションがあります。SIer出身者を歓迎する求人も、決して珍しくありません。
ただし、SIerで何をしていたのかを説明できなければ、経験がそのまま評価されるわけではありません。
ここが転職活動で重要なポイントです。
例えば、職務経歴書に「Javaでシステム開発」「要件定義を担当」「顧客との折衝を経験」とだけ書いても、社内SEとして何ができるのかまでは伝わりません。
「顧客の業務上の課題をヒアリングし、要件を整理して開発チームへ落とし込んだ」
「複数のベンダーと調整しながら、納期と品質を管理した」
「利用部門の要望を整理し、システム化する範囲を決めた」
このように、経験を社内SEの業務と結び付けて説明する必要があります。
SIerから社内SEへ転職する5つのメリット
SIerから社内SEへ移ることで、単純に残業が減るだけではありません。
仕事の立ち位置そのものが変わるため、これまでとは違ったやりがいを感じる人もいます。
①ワークライフバランスを改善しやすい
社内SEへの転職を考える理由として、働き方を改善したいという人は多いでしょう。
SIerでは顧客の納期やプロジェクトスケジュールに合わせて仕事を進めるため、開発終盤や障害対応などで勤務時間が伸びることがあります。
社内SEの場合、自社の業務を支える立場になるため、顧客企業の納期に追われ続ける働き方からは離れやすくなります。
実際、SIerから大手メーカーの社内SEへ転職した体験談では、前職では22時頃に帰宅することもあったものの、転職後はほとんど定時退社、長くても1時間程度の残業という働き方になったと紹介されています。
もちろん、社内SEなら必ず残業が少ないわけではありません。
全社的なシステム刷新や障害対応、決算期などに忙しくなる企業もあります。求人票だけで判断せず、繁忙期の働き方や休日対応の有無まで確認しておきましょう。
②自分の仕事が事業にどう役立ったのか分かりやすい
SIerでは、顧客企業のシステムを開発することが仕事の中心になります。
もちろん顧客の課題解決にはつながっていますが、システム導入後に事業がどう変わったのかまで追いにくいケースもあります。
社内SEになると、システムを利用する社員や事業部門が同じ会社の中にいます。
「このシステムを導入したことで作業時間が短くなった」
「この業務を自動化したことで現場の負担が減った」
そんな変化を直接感じられる場面が増えます。
30代でSIerから社内SEへ転職した体験談でも、SIerではシステム開発における品質・コスト・納期の遵守が中心になりやすいことに対して、社内SEならシステムの企画から導入、活用まで当事者として関われる点が志望理由として挙げられています。
「作ること」だけでなく、「なぜ作るのか」「導入して何が変わったのか」まで考えたい人には、仕事の面白さが変わってくるでしょう。
③企画・要件定義など上流工程に関わりやすい
社内SEの求人には、システム運用だけでなく、企画や要件定義、導入計画などを担当するポジションがあります。実際の求人でも、会社全体の業務やシステムを俯瞰し、企画から導入まで立案・実行する仕事内容が掲載されています。
SIerで基本設計や詳細設計、開発、顧客との要件調整などを経験していれば、その経験を土台にしてさらに上流へ進める可能性があります。
ただし、「社内SEになれば必ず上流工程を担当できる」というわけではありません。
社内SEと一口に言っても、IT企画、アプリ開発、インフラ、セキュリティ、ヘルプデスク、社内IT運用など仕事内容はかなり違います。
上流工程を目指すなら、求人票に「IT企画」「システム企画」「DX推進」「要件定義」「ベンダーコントロール」などの記載があるかを確認してください。
④技術だけでなくビジネス理解を深められる
SIerでは技術力が重要です。
ただ、社内SEになると、それだけでは仕事が回りません。
利用部門が何に困っているのか、会社として何を優先するのか、予算をどこに配分するのか。こうした視点が必要になります。
例えば、現場から「新しいシステムを導入したい」と相談されたとしても、言われた通りに導入するだけでは社内SEの仕事として十分とはいえません。
既存システムとの連携はどうするのか。
本当にシステム化する必要があるのか。
導入後の運用は誰が担当するのか。
そこまで考えて判断することになります。
「システムを作ること」ではなく「本当にシステムが必要か」から疑うくらいの視点があると、社内SEとしての評価は変わってきます。
技術を深めるだけでなく、業務や経営に近いところでITを使いたい人には、この変化が大きな魅力になります。
⑤安定した環境で長期的なキャリアを築きやすい
社内SEは事業会社のIT部門に所属するため、ひとつの会社や事業について長く知識を蓄積していけます。
SIerでは案件が変われば顧客や業界も変わりますが、社内SEでは同じ会社の業務やシステムを継続的に担当することになります。
そのため、業務知識とIT知識を掛け合わせた専門性を作りやすいのが特徴です。
「技術だけで勝負するエンジニア」から、「業務を理解したうえでITを使って課題を解決する人材」へキャリアの軸を広げたい人には、相性の良い環境です。
SIerから社内SEへの転職で知っておきたい4つのデメリット
ここまでメリットを紹介しましたが、社内SEにも合う・合わないがあります。
「社内SEなら楽になる」とだけ考えて転職すると、入社後にギャップを感じるかもしれません。
①技術的な成長が鈍化する可能性がある
社内SEでは、自社の業務に必要なシステムや技術を扱うことになります。
そのため、SIerのように案件ごとに異なる技術や開発手法に触れる環境と比べると、最新技術を幅広く経験する機会が少なくなるケースがあります。
特に、運用保守が中心の社内SEを選んだ場合は注意が必要です。
「最新技術をどんどん触りたい」という人なら、社内SEの求人でもDX推進、クラウド、データ活用、AI、内製開発などに力を入れている企業を選んだほうがいいでしょう。
②ヘルプデスクやPC対応なども仕事になる
社内SEという名前から、システム企画や開発だけを想像してはいけません。
会社によっては、PCのセットアップ、アカウント発行、社内システムの問い合わせ対応、ネットワークトラブルなども社内SEの仕事です。
場合によっては「パソコンの先生」のような役割まで任されます。
ここを避けたいなら、求人票だけでなく面接で具体的な業務割合を確認しましょう。
「企画業務と運用業務の比率はどの程度ですか?」
「問い合わせ対応は情報システム部門の誰が担当していますか?」
「PCキッティングやヘルプデスクも担当しますか?」
このあたりを聞いておけば、入社後のミスマッチを減らせます。
③社内調整や人間関係が仕事の中心になることもある
社内SEは、技術だけで問題を解決できる仕事ではありません。
営業部門、経理部門、製造部門、経営層など、立場の異なる人たちと話しながらシステムを決めていく必要があります。
「技術的にはこちらが正しいのに、なぜ話が進まないのか」
そんな場面も出てきます。
SIer時代に顧客と開発チームの間に立って調整してきた経験がある人なら、むしろこの部分は強みになります。
ただ、社内の意思決定には独特のルールがあります。技術力だけで押し切ろうとせず、相手の事情を理解して話を進める力が重要です。
④大手SIerから転職すると年収が下がるケースもある
社内SEへ転職すれば年収が必ず上がる、とは考えないほうがいいでしょう。
30代でSIerから大手メーカーの社内SEへ転職した事例では、前職と転職後の年収はともに700万円で、年収そのものは同水準でした。ただし、勤務時間が大幅に短くなったことで、労働時間に対する収入という意味では転職後のほうが良くなったとされています。
年収だけを見ると「変わらない」と感じても、残業時間や休日対応、通勤時間まで含めると働き方の満足度は大きく変わります。
逆に、大手SIerで高い年収を得ている人が、知名度だけを理由に事業会社へ移ると、給与条件に納得できない可能性があります。
転職では、年収と働き方の両方を見て判断してください。
一つの体験談だけでなく、平均的な水準も見ておきましょう。dodaが発表しているデータでは、システムインテグレーター(SIer)の平均年収は475万円、社内SEを含む職種別データでは450.8万円です。平均値だけを見れば、SIerのほうがわずかに高い水準といえます。年代別では20代404万円、30代533万円、40代671万円、50代755万円と、経験を積むほど伸びる傾向も見られます。ただし、これは業種別と職種別という異なる切り口の調査であり、実際の年収は企業規模や役職、担当領域によって大きく変わります。年収が変わらないケースもあることを踏まえ、平均値はあくまで目安として捉えておきましょう。
SIer出身者が社内SEの面接で評価される3つの強み
SIer出身者が社内SEを目指すとき、「社内SE経験がない」という点ばかり気にする必要はありません。
むしろ、SIerだからこそ身につけやすい能力があります。
①ベンダーコントロールができる
社内SEでは、すべてのシステムを自社だけで開発するわけではありません。
外部のSIerや開発会社、クラウドベンダーなどと協力しながらプロジェクトを進めることもあります。
ここで役立つのが、SIer側で働いた経験です。
見積もりの考え方や開発工程、スケジュール、工数、仕様変更がプロジェクトへ与える影響などを理解しているからです。
「ベンダーに依頼できます」だけではありません。
「この条件で依頼すると、どこに工数がかかるのか」「この納期が現実的なのか」と判断できることが大きな強みになります。
②調整力とコミュニケーション能力がある
SIerでは、顧客、営業、開発メンバー、協力会社など、複数の関係者を調整しながら仕事を進めます。
この経験は社内SEでもそのまま使えます。
特に、利用部門から曖昧な要望を受け、それを整理して開発側へ伝えていた人は強いです。
社内SEでは「システムを作れる人」だけでなく、「何を作るべきかを整理できる人」が求められるからです。
③要件定義や上流工程の経験がある
SIer時代に要件定義や基本設計、顧客への提案などを経験しているなら、必ず職務経歴書に具体的に書きましょう。
単に「要件定義を担当」とするのではなく、
- どのような顧客を担当したのか
- どのような課題をヒアリングしたのか
- どのように要件を整理したのか
- どの程度の規模のプロジェクトだったのか
- 自分がどこまで意思決定に関わったのか
まで説明できると、経験の価値が伝わりやすくなります。
実際にどう書けば伝わるのか、次の章で具体的な例を紹介します。
SIerでの経験を職務経歴書でどう書くか
面接で評価される強みが分かっても、それを職務経歴書に落とし込めなければ書類選考の段階で止まってしまいます。
社内SEの採用担当者は、SIerでの業務内容そのものよりも、その経験を自社でどう再現できるかを見ています。ここでは、よくある書き方とその改善例を比較しながら見ていきましょう。
①要件定義の経験を書く場合
「要件定義を担当」とだけ書いても、規模も難易度も伝わりません。誰の課題を、どの範囲まで整理したのかまで書くことで、初めて実務のイメージが湧きます。
Before:クライアント企業向けシステムの要件定義を担当。
After:製造業クライアント(従業員数約500名)の生産管理システム刷新にあたり、現場担当者へのヒアリングを実施。既存業務フローの課題を整理し、要件定義書としてまとめたうえで開発チームへ引き継いだ。
②ベンダー・協力会社との調整経験を書く場合
社内SEの求人では、複数のベンダーを管理する立場を求められることが多くあります。単に「調整した」ではなく、何を基準に判断していたのかまで書くと、ベンダーコントロールの経験として伝わります。
Before:協力会社と連携しながらプロジェクトを進行。
After:協力会社3社が関わる開発プロジェクトにおいて、各社の進捗と工数を週次で確認。仕様変更が発生した際は、影響範囲とスケジュールへの影響を精査したうえで各社へ調整を依頼した。
③開発経験を書く場合
技術力だけを並べても、社内SEとしての適性は伝わりにくいものです。使用言語や技術に加えて、それを使って何を解決したのかまで書きましょう。
Before:Javaを用いたシステム開発に従事。
After:Javaを用いた在庫管理システムの開発に従事。手作業で行っていた在庫照合業務を自動化し、担当部署の月次作業時間を約20時間削減した。
職務経歴書を書くときに意識したいこと
三つの例に共通しているのは、規模、役割、成果のいずれかを必ず入れている点です。すべてを詳細に書く必要はありませんが、少なくともこの三つのうち一つは具体的な数字や固有の状況で示すと、読み手の印象はかなり変わります。
数字が出せない業務であれば、判断の基準や工夫した点を書くだけでも構いません。大切なのは、経験を並べることではなく、その経験から何を任せられる人材なのかを採用担当者が想像できるようにすることです。
SIerから社内SEへの転職に必要なスキル・資格
社内SEに転職するために、資格を大量に取得する必要はありません。
まずは求人を確認し、自分が狙うポジションで何を求められているかを把握してください。
現在の社内SE求人を見ると、サーバー、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、アプリケーション、IT企画など、求められる専門領域は求人によって大きく異なります。
社内SEの主な職種内訳
社内SEとひとくくりに言っても、企業によって担当する領域はかなり違います。求人を確認する際は、次のような分類を参考にしてください。
| 職種区分 | 主な業務内容 |
|---|---|
| IT企画・システム企画 | 経営課題の整理、IT戦略の立案、システム化の企画・予算策定 |
| アプリケーション開発 | 業務システムの設計・開発・改修 |
| インフラ・ネットワーク | サーバー、ネットワーク、クラウド環境の設計・構築・運用 |
| セキュリティ | アクセス権限管理、脆弱性対応、情報漏えい対策 |
| ヘルプデスク・社内IT運用 | PCキッティング、社員からの問い合わせ対応、社内システムの運用保守 |
自分がどの領域を担当したいのかを先に整理しておくと、求人票の「社内SE」という表記だけでは分からない業務内容を見極めやすくなります。
インフラ・ネットワークの基礎知識
アプリ開発を中心に経験してきた人でも、社内SEを目指すならネットワークやサーバーの基礎は押さえておきたいところです。
社内システムでは、アプリだけで完結するケースは限られます。
ネットワーク、認証、サーバー、クラウド、端末など、システム全体を見渡す力があると仕事の幅が広がります。
セキュリティの基礎
社内SEでは、情報漏えいや不正アクセス、アカウント管理など、セキュリティに関する判断も必要になります。
高度なセキュリティ専門知識まで必須とは限りませんが、認証、アクセス権限、脆弱性、ログ管理などの基本は理解しておきたい分野です。
業務効率化につながるプログラミング
Python、VBA、C#などの経験は、社内SEの業務改善にも活かせます。
特に、手作業で繰り返している業務を自動化した経験があれば、技術力だけでなく「業務を改善できる人」としてアピールできます。
筆者自身も現在、AIを活用したバイブコーディングに取り組み、業務効率化につながるツールの作成を行っています。
AIを使えることだけをアピールするより、「AIを使って何を改善したのか」まで説明したほうが、社内SEとしての価値は伝わります。
資格は転職先に合わせて選ぶ
資格については、狙う求人に合わせて優先順位を決めましょう。dodaの調査では、社内SEへ転職した人が実際に保有している資格として、基本情報技術者試験がもっとも多く挙げられています。SIerでの実務経験がある人なら、比較的取り組みやすい難易度です。
| 資格 | 向いている人 | 活かしやすい領域 |
|---|---|---|
| 基本情報技術者試験 | IT全般の基礎知識を証明したい人 | 幅広い領域(応募時の基礎的な証明) |
| 応用情報技術者 | IT全般の知識を体系的に整理したい人 | 上流工程・IT企画 |
| CCNA | ネットワークを強化したい人 | インフラ・ネットワーク |
| CCNP | ネットワークをより深く学びたい人 | インフラ・ネットワーク |
| ITIL Foundation | ITサービス運用を学びたい人 | IT運用・サービス管理 |
| 情報セキュリティマネジメント試験 | セキュリティの基礎を証明したい人 | セキュリティ |
資格取得が目的になってしまうと、転職活動とのバランスが崩れます。
すでにSIerで実務経験があるなら、資格勉強だけに時間を使うより、これまでの仕事を整理して面接で説明できる状態にするほうが先です。
20代・30代・40代で変わる社内SEへの転職戦略
社内SEへの転職では、年齢によって評価されるポイントが変わります。
「30代だからもう遅い」と考える必要はありません。大切なのは、その年齢で企業が何を期待するのかを理解することです。
dodaの調査でも、社内SEへの転職者のうち40歳以上が20%を占めており、年齢を理由に諦める必要がないことは数字の面からも見て取れます。
20代はポテンシャルと実務経験の組み合わせで勝負する
20代なら、今後の伸びしろを含めて評価されやすい時期です。
もちろん実務経験は重要ですが、すべてのスキルを完成させてから転職する必要はありません。
開発経験に加えて、要件定義や顧客折衝にも挑戦してきたこと、今後IT企画やDX領域へ進みたいことなどを具体的に伝えましょう。
30代は即戦力として何ができるかを明確にする
30代になると、「入社してから学びます」だけでは弱くなります。
これまで何を経験し、その経験を入社後にどう使えるのかを明確にしてください。
特に評価につながりやすいのは、要件定義、顧客折衝、プロジェクト管理、ベンダーコントロール、業務改善などです。
実際、31歳で大手SIer系列から大手メーカー本社の社内SEへ転職した事例では、上流工程の経験や顧客への企画レベルの提案経験を強くアピールする形で応募書類や面接のストーリーを調整しています。
40代はマネジメントやIT戦略まで視野に入れる
40代になると、単純な開発スキルだけでなく、組織やプロジェクトを動かす能力がより重要になります。
プロジェクトマネジメント、チームマネジメント、IT企画、予算管理、ベンダー管理など、自分一人の技術力を超えて成果を出した経験があるなら積極的にアピールしましょう。
ただし、40代だから管理職しか選べないわけではありません。40代以上での転職者が一定数存在することは、データにも表れています。
専門性を評価する企業もあるため、自分の強みと求人の要求が合う企業を探すことが大切です。
SIerから社内SEへの志望動機の作り方
社内SEへの志望動機でやってはいけないのが、「残業が少なそうだから」「ワークライフバランスを改善したいから」という理由だけで終わらせることです。
転職理由として働き方を挙げるのは問題ありません。
ただ、それを志望動機の中心にすると、「条件が良ければ他社でもいいのでは?」と思われてしまいます。
志望動機では、次の3段階で話を組み立てると整理しやすくなります。
- 現職で感じている課題
- なぜ社内SEという仕事を選ぶのか
- なぜその会社なのか
NG例|残業を減らしたい
現在のSIerでは残業が多く、ワークライフバランスを改善したいと考えています。社内SEであれば残業が少なく、安定した働き方ができると思い志望しました。
これでは、会社側が採用するメリットが見えません。
OK例|SIer経験を事業会社で活かしたい
これまでSIerでシステム開発に携わり、顧客へのヒアリングから要件整理、開発メンバーとの調整まで経験してきました。その中で、システムを納品することだけでなく、導入後に現場の業務がどう変わったのかまで見届けたいという思いが強くなりました。
今後は事業会社のIT部門で、利用部門と直接コミュニケーションを取りながら、業務課題の整理からシステム企画、導入まで関わりたいと考えています。
中でも御社は〇〇の領域でIT活用を進めており、これまで培った要件定義やベンダーとの調整経験を活かしながら、より事業に近い立場で貢献できると考え、志望しました。
重要なのは、SIerを否定しないことです。
「SIerではできなかったから転職する」ではなく、「SIerで経験したからこそ、次はここまで関わりたい」と話してください。
これだけで志望動機の印象はかなり変わります。
SIerから社内SEへの転職を成功させる4つのステップ
①自己分析とスキルの棚卸しをする
最初にやるべきなのは、求人を探すことではありません。
まず、これまでの仕事を整理してください。
担当したプロジェクト、役割、使用技術、顧客との関わり方、担当した工程、改善したことなどを書き出します。
「自分には社内SEとしてアピールできる経験がない」と感じている人ほど、ここを丁寧にやってみてください。
②社内SE求人を幅広く確認する
社内SEといっても、仕事内容はかなり幅広いです。
先ほどの職種内訳を参考にしながら、最初から一つの職種に絞らず、求人を10件、20件と見ていきましょう。
見ていくうちに、「自分がやりたい社内SE」が少しずつ見えてきます。
③企業研究と面接対策を行う
社内SEの転職では、企業研究がかなり重要です。
なぜなら、同じ社内SEでも会社によって仕事内容がまったく違うからです。
確認したいのは、次のようなポイントです。
- IT部門の人数と組織体制
- 内製開発と外部ベンダーの役割分担
- IT投資やDXへの取り組み
- ヘルプデスク業務の有無
- 企画・要件定義から関われるか
- システム障害や休日対応の頻度
面接では「社内SEとして何をしたいのか」だけでなく、「その会社のIT部門で何ができるのか」まで話せるようにしておきましょう。
④内定後は年収だけでなく条件を比較する
複数社から内定をもらった場合、年収だけで決めるのはおすすめしません。
仕事内容、残業、リモートワーク、勤務地、転勤、休日対応、キャリアパスなどをまとめて比較してください。
社内SEへの転職では、年収が大きく変わらなくても働き方が大きく改善するケースがあります。先ほど紹介した転職事例でも、年収は前職と同水準ながら勤務時間が大幅に短くなっています。
「何を得るための転職なのか」を最後まで忘れないことが大切です。
筆者のプロフィールとSIerから社内SEへの転職経験
ここまで読んで、「本当にSIer経験を社内SEで活かせるの?」と思っている方もいるでしょう。
筆者自身も、最初から社内SEだったわけではありません。冒頭でも触れた通り、九州の国立大学を卒業後、新卒でSIer企業へ入社し、SEとしてシステム開発を経験しました。
これまでC#、C++、Cなど複数の言語を扱い、開発だけでなく、顧客との調整や上流工程にも携わってきました。
SIer時代の経験が無駄になったとは感じていません。
むしろ、外部からシステムを作る側だった経験があるからこそ、事業会社側でシステムを使う人の課題を考えやすくなりました。
SIerから社内SEへ転職すると、エンジニアとして別人になるわけではありません。
これまでの経験を、今度は別の立場から使うことになります。
SIerから社内SEへの転職でよくある質問
未経験から社内SEになれますか?
SIerで働いているのであれば、社内SE未経験でも十分応募できます。
社内SE経験がないことより、これまでのSIer経験を社内SEの仕事へどうつなげられるかが重要です。
特に、要件定義、顧客折衝、プロジェクト管理、ベンダーとの調整などは積極的にアピールしてください。
SIerから社内SEに転職すると年収は下がりますか?
下がるケースもありますが、必ず下がるわけではありません。
企業規模、業界、職種、経験、役職などによって条件は変わります。
実際にSIerから大手メーカーの社内SEへ転職した事例では、前職と転職後の年収はともに700万円でした。dodaの平均年収データで見ても、SIerと社内SEの差はそれほど大きくありません。
年収だけでなく、残業や休日対応を含めて比較しましょう。
社内SEはつまらないと聞きますが本当ですか?
これは会社と仕事内容によります。
運用や問い合わせ対応が中心の仕事なら、開発が好きな人は物足りなさを感じる可能性があります。
逆に、IT企画やDX推進、業務改善、内製開発などに力を入れている会社なら、事業に近い場所でITを使う面白さがあります。
求人票の「社内SE」という職種名だけで判断しないことが重要です。
転職活動にはどのくらいの期間がかかりますか?
個人差があるため、一概には言えません。
参考として、30代でSIerから社内SEへ転職した事例では、活動開始から内定獲得まで約3か月でした。本人は3〜4か月程度を見ておいたほうがよいとしています。
在職中に転職活動をする場合は、応募書類の準備や面接日程の調整にも時間がかかります。
焦って短期間で終わらせるより、複数社を比較できるスケジュールを組んだほうがいいでしょう。
どの転職エージェントを使えばいいですか?
IT・Web領域に強い転職エージェントを複数利用し、求人や担当者との相性を比較する方法があります。
例えばtype転職エージェントでは、IT領域のアドバイザーの中にSIerや社内SE、ITコンサルタントなどを得意領域とする担当者が掲載されています。
ただし、エージェント選び以上に重要なのは、自分がどのような社内SEになりたいのかを明確にしておくことです。
「社内SEならどこでもいい」という状態では、求人を紹介されても比較できません。
まとめ|SIerで積んだ経験は社内SEへの転職で活かせる
SIerから社内SEへの転職は、決して無謀なキャリアチェンジではありません。
顧客折衝、要件定義、システム開発、プロジェクト管理、ベンダーとの調整など、SIerで経験してきた仕事は社内SEでも活かせます。
ただし、転職を成功させるには「社内SEになりたい」という気持ちだけでは足りません。
自分の経験を整理し、どの社内SE求人なら強みを活かせるのかを見極めることが重要です。
特に30代以降は、単なる技術経験ではなく、これまで何を考えて仕事を進め、どんな成果を出してきたのかまで説明できる状態にしておく必要があります。
社内SEへの転職を考え始めたら、まずは転職サイトを見る前に、これまで担当したプロジェクトを一度書き出してみてください。
SIer時代には当たり前だと思っていた経験が、社内SEの採用担当者から見ると大きな強みになることがあります。
あなたのSIer経験を捨てる必要はありません。その経験を、次のキャリアでどう使うかを考えてみてください。


















